内容説明
わたしがまだ小さくて山おくにすんでいたころ、ゆうがたになると、おじいちゃんは石炭のこなでまっくろになってかえってきた。くろくないのはくちびるだけ。そのくちびるで、わたしのあたまにただいまのキスをした。きびしく美しいアパラチアの自然のなか、おとなたちに見守られながら、野山を思いきりかけまわった日々…。少女時代の思い出をあたたかくつづった、シンシア・ライラントのデビュー作!コールデコット賞オナー受賞。
著者等紹介
ライラント,シンシア[ライラント,シンシア][Rylant,Cynthia]
1954年、アメリカのヴァージニア州に生まれる。大学卒業後、図書館員などを経て『わたしが山おくにすんでいたころ』を発表し、コールデコット賞オナーを受賞する。絵本、詩、幼年童話、小説などで、幅広く活躍。『メイおばちゃんの庭』(あかね書房)で1992年ボストングローブ・ホーンブック賞、93年ニューベリー賞を受賞
グッド,ダイアン[グッド,ダイアン][Goode,Diane]
1949年、ニューヨークのブルックリンに生まれる。イラストレーター・絵本作家
もりうちすみこ[モリウチスミコ]
1955年、福岡県に生まれる。九州大学教育学部卒業。小学校の教師を経て、翻訳家に。2012年、『おじいちゃんの手』(光村教育図書)で第59回産経児童出版文化賞翻訳作品賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mug
59
作者の実話を元に描かれた、祖父母に捧げた作品。両親から離れ、祖父母や親戚と共に山奥で暮らした日々が綴られている。素朴で、穏やかな日常。…そんな中での蛇のくだりには驚いた💦2020/09/30
ぶんこ
45
大好きなシンシアさんのデビュー作。シンシアさんの原点を知る事ができました。家庭の事情で4年間を山奥の祖父母と共に暮らした生活。ライフラインが充実していなくても、貧しくても、家の中は温かくて愛情いっぱい。炭坑夫のおじいちゃんが真っ黒になって帰ってくると、頭にキスをしてくれる。真面目に毎日を穏やかに暮らしている人々の持つ温もりが感じられてほっこりとしました。2019/10/18
seacalf
42
アメリカの児童作家シンシア・ライラントの自伝的絵本。厳しい自然に囲まれたアパラチアの山奥で祖父母に預けられて育てられた少女時代、その素朴だけど満ち足りた生活が描かれている。古き良き時代、今でいうライフラインなんて勿論ないけれど、なんと羨ましい生活だろう。オクラのフライ食べてみたいなあとか、アメリカの家と言えばポーチ、羨ましいなあとかむにゃむにゃと想像をたくましくしながら気楽にページをめくれる。ライラントは『ヴァン・ゴッホ・カフェ』しか読んだことないが、これを機会に他も読んで見たくなった。2018/10/19
鴨ミール
35
幼い頃の記憶が心のなかに少しでもあれば、なにかの折に取り出して思い返すことができる。それが心を温めるようなものであれば、幸せだ。主人公の少女は、両親の離婚や母の多忙のため山奥の祖父母の家で生活することとなる。そこでの暮らしは、水遊びする池の水は泥水だし、トイレは家の外にあるし、庭にはヘビも出る。それでも少女は「満ち足りていた」と回顧している。モノが多いか少ないかや、文明が進んでいるかいないかで、人の幸せが決まるものではない。そのことを子どもたちは理解できるであろうか。高学年に読んでみたい。2024/06/16
鴨ミール
32
おはなし会の準備。何度読んでも落ち着く絵本です。繰り返しが出てきますが、とても語りやすい言葉に訳されています。ウズラの鳴き声は聞いたことないので、早口で言ってみようかな。2024/07/02