感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
有智 麻耶
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教育学におけるアウグスティヌス研究が『教師論』における言語哲学的な思索の分析に偏重してきたことを批判的にとらえ、キリスト教的な愛の思想の観点から彼の思想の教育学的な意義を探求した研究書である。『教えの手ほどき』に重要な位置づけを与えており、真理の探求における「内なる教師」たる神の役割を強調することにとどまらず、人間対人間の教育的な活動に真剣に向き合った実践家としてのアウグスティヌス像と、その思想を描き出している。結論のありきたりさは、むしろ中世思想がもつ現代的な射程のひろさを表わすものだろう。2024/07/11