内容説明
フランス地中海側の筆頭港湾都市・マルセイユ。バルセロナやジェノヴァに遅れを取り荒廃顕著であったこの都市に、国家が能吏を送り込み、立案したのがユーロメディテラネ構想である。それはディズニーポートやマックウォーターフロントと呼ばれた北米型の港湾再生や、ロンドン・ドックランド型の新都心形成を目指さず、主軸としたのは文化である。ビルバオを追ってハイ・カルチャーに背伸びせず、大道芸やラグビー、はたまたスケボーすらも含む海洋都市らしいバザール文化が花開く。マルセイユは、都市計画の文化化や享楽の活用により、雇用改善、観光開発、地方創生、広域連携、そして何より社会的包摂にチャレンジするのだ。南仏らしく緩く、ワイルドで、楽天的な街づくりに挑んだ4半世紀の物語。
目次
第1編 リュック・ベッソン、ジネディーヌ・ジダン、ユーロメディテラネ
第2編 唯我独尊の時代
第3編 ライヴァルとユーロメッド構想
第4編 廃屋の文化(化)史
第5編 イルカとマルセイユ病
第6編 ダイナマイトとジェントリフィケーション
第7編 国家と文化への跳躍
第8編 人生をもっと美しく
著者等紹介
鳥海基樹[トリウミモトキ]
東京都立大学建築学科教授。1969年生まれ。2001年フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)博士課程修了。Docteur(´etudes urbaines)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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