内容説明
多元文化の時代における「エスニックな美学」としての“日本美学”の構築に向け、“幽玄”を具体的に解明する。“幽玄”に関する文化的感性や美的思想は“日本美学”の重要な課題である。日本ないし東アジアの芸術的精神の世界を開ける鍵と言える。“幽玄”は近代以降の西欧中心主義を超克する方法ともなりえるのではないだろうか。
目次
序章 多元文化の時代における“日本美学”の構築へ向けて(“日本美学”という概念;西欧中心主義的な美学の終焉 ほか)
第1章 「和魂漢才」から「和魂洋才」へ―近代日本における「美学」の成立(日本における「近代化」の開幕;「美学」の訳語 ほか)
第2章 幽玄論史百年―複眼的・総合的研究への道程(森鴎外と石橋忍月の「幽玄論争」をめぐって;美学と文芸批評の絡み合い ほか)
第3章 東アジアにおける“天人合一”の詩学―“幽玄”の解明を中心に(存在論的概念としての幽玄;様式的概念としての幽玄 ほか)
終章 幽玄論の理論的射程と“日本美学”の新しい可能性
著者等紹介
鄭子路[テイシロ]
1991年中国江西省徳興市生まれ。平成29年度ロータリー米山記念奨学金奨学生。広島大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)。広島大学特別研究員を経て、現在、中国江西師範大学美術学院講師。専攻は美学・芸術学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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