内容説明
このブックレットでは、「日本の伝統・文化」とされているもののなかで、それは実は政治によって新しく作られたものではないかという事項を具体的に取り上げました。わたしたちが伝統、文化と意識されているものが、いつ作られたのか、誰がつくったのか、何のために作られたのかを考えました。さらに一般的に「日本の伝統・文化」と意識されているものの他に、こんなものもわたしたちの伝統・文化ではないのかというものをとりあげました。
目次
歴史と国家(日本とはどこか?;琉球使節は外国衣装を「強制」された?;国家神道は宗教、それとも政治体制? ほか)
国民の創出(神前結婚式はニューモード!;家族の美風?;良妻賢母は西洋近代思想 ほか)
文化と近代(うつくしきもの。;『万葉集』は古典的国民歌集か?;桜といえばソメイヨシノ、ですか? ほか)
著者等紹介
千本秀樹[チモトヒデキ]
1949年、兵庫県生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科教授(歴史・人類学専攻)、『季刊 現代の理論』編集委員
長谷川孝[ハセガワタカシ]
1941年、東京都生まれ。教育評論家、駒澤大学講師、元毎日新聞編集委員
林公一[ハヤシコウイチ]
1964年、和歌山県生まれ。関西大学講師、専門は教育行政学、公教育論(教員処分、宗教と教育、学校教育と学校外教育)
田中恵[タナカメグミ]
1973年、佐賀県生まれ。筑波技術大学講師、専門は日本近代思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aby
2
「伝統」「文化」と形容されるされる物事が,どの様に形成されたのかを知るヒント集.いろいろ思惑があって利用するために作ってきた側面もある.何事も鵜呑みにせず,検証することが大事.2016/08/20
さとちゃん
1
「伝統」「文化」を持ち出して説得しようとする姿勢に対して抱いていた違和感に対して、このように検証すればよいのか、と手がかりになったような気がします。2016/10/02
ほりー
1
「日本の伝統文化」「日本を、取り戻そう。」その伝統っていつから続いているもの?いつごろのどんな日本? <これが日本の伝統文化です>、と当たり前に、あるいは誇りに思い、海外の方に紹介したいなどと考えているイメージが、実はさほどの伝統でもなかったり、政府や天皇制によってつくりあげられたものだったり。 教わる機会がなければ知らずにいたことが、いろいろひっくり返されました。2015/10/06
やまべ
0
保守的な向きの言う日本の「伝統・文化」が、実際のところは政治的な思惑で構築された物語であって……という流れは、もともとリベラルを志向する身としては特に新鮮でもない。とはいえ、白菜が日本に根付いたのは意外に新しく明治以降とか、「喪服は黒」はいつからか、みたいなちょっとした話が面白い。あとがきでも自省されているようにもっと充実させてもらいたい分野もあるし、1項目見開きで収めるために各項目で活字の大きさが違うという編集には疑問があるのだけど。2014/04/15