内容説明
大河のあぜにある村に下放してきた梅紋。深い悲しみを抱く彼女を温かく見守る細米とその両親、仲間、先生たち。水郷地帯の中学校を舞台に、成長していく少年少女を現代中国児童文学を代表する作家曹文軒が詩情豊かに描く。
著者等紹介
曹文軒[ツァオウェンシュエン]
1954年江蘇省塩城市生まれ。作家。北京大学教授。過酷な運命に立ち向かう強い少年像を創り出し、「児童文学は文学である」と主張、1980年代中国児童文学の騎手として活躍。代表作『草房子』は中国で映画化され、日本でも『草ぶきの学校』として公開された。2016年国際アンデルセン賞作家賞受賞
水野衛子[ミズノエイコ]
慶應義塾大学文学部中国文学専攻卒。中国映画字幕・中国文学翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がらくたどん
19
表題になった美しい歌(中国語で聴いてみたい)に乗って、大河の自然に守られた農村を舞台に、村の学校の校長一家の腕白だが感性豊かな少年と文革政策で農村に労働派遣された知識人家系の少女との暖かく切ない交流を描く。同様の舞台設定である『サンサン』に比べて文革の落とす影ははっきりと描かれているが、感じるのは無垢な少年が少し年上の少女に向ける憧れと思慕であり、弱々しく悲しみに暮れていた少女の成長であり、何よりも水辺の村に流れる時間の優しさである。強引な性急と強かな悠久が同居できるほどに広い大陸は不思議な魅力がある。2021/10/29