内容説明
本書はフレイザーの『金枝篇』に触発され、『詩経』をはじめとする古典作品を新たな視点から読み直すことにより、中国の伝統社会に横たわり近代にまで連綿と続く基層文化の意味を、生き生きと描いた名著である。また、なぜ古代の王は雨乞いの祈祷など宗教的機能をはたしたのか、あるいは入り婿になった男たちがどれほど悲惨な生活を強いられ望郷の念に襲われていたか、さらにどうして中国人は名前を呼ばれることを恐れたのか、副葬品に込められた中国人の死後世界のイメージはどのようであったか、などのテーマを多くの古典を渉猟しながら達意の文章で鮮烈に描くことにより、文学革命を実践的に展開した記念碑的な作品群である。訳者による本格的な解説は、わが国ではじめて鄭振鐸の業績を紹介し、本書の面白さの由来と独自性を簡潔に分析するとともに学界、読書界にとって注目すべき著作家であることを明らかにした貴重な論考である。
目次
第1章 湯祷篇
第2章 玄鳥篇・感生篇
第3章 黄鳥篇
第4章 釈諱篇
第5章 伐檀篇
第6章 作俑篇
著者等紹介
鄭振鐸[テイシンタク]
1898‐1958。詩歌、戯曲、散文、美術、考古、歴史のどの分野においても、また創作や翻訳においても並はずれた才能を発揮し多岐にわたる業績を残したが、不慮の飛行機事故で命を落とした
高木智見[タカギサトミ]
1955年岐阜県大垣市に生まれる。名古屋大学大学院博士課程修了。天津・南開大学、上海・復旦大学に留学(1979‐82年)。山口大学人文学部教授。博士(歴史学)
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