出版社内容情報
西郷隆盛に憧れて、彼の理想を継承して生涯活躍した在野の巨魁・頭山満満とその抱いてきた大アジア主義の理想。思想そのものは時代によって変化するが、その発想の基本は見失ってはならない大切なものを含んでいる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みのくま
11
まず前提として、大アジア主義および玄洋社にこびり付いた極右主義的イメージを払拭すべきである。中国韓国インド他アジアの連帯を模索する大アジア主義は、欧米列強の近代帝国主義よりもはるかに多文化主義的側面が強い。そのため頭山のみならず玄洋社社員、内田良平など大陸浪人達、また金玉均や汪兆銘、チャンドラ・ボースなどの日本人以外のアジア主義者達も再評価されるべきである。また頭山満を現代日本に召喚する必然性もある。彼は一生涯無位無官を貫いたが、その影響力は没するまで持ち続けた。ぼくは頭山に「理想の野党」とは何かを見た。2019/10/19
Ohe Hiroyuki
1
神道や日本の保守思想に影響を与えた著者による明治から昭和にかけての東アジア史を「大アジア主義」と「頭山満」をキーワードに概観した一冊である。▼本書を読むと、「大アジア主義」とは、明治の国際情勢の動乱において培われてきた思想であるとともに実学であることが分かる。▼「大アジア主義」とお念仏を唱えるだけでなく、まさしく足で回り、そしてアジアの有志が彼を訪ねている。▼「大アジア主義」は、「東アジア共同体」とは全くことなる思想であり、実学である。▼歴史を流れる水脈を描く一冊であり、必読であるといえよう。2021/06/06
tkm66
0
これ以前に『永遠の維新者』を読んでいた。当時でも<この人の著作集が出版される?>と驚いた覚えが。2003/02/23