アクティヴ・イマジネーションの理論と実践 ユング派のイメージ
成長する心

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  • サイズ A5判/ページ数 204p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784901510226
  • NDC分類 146.1
  • Cコード C3011

出版社内容情報

ユング派精神分析技法の真髄、アクティヴ・イマジネーションの実際を丹念に追い、個人的レベルから元型的レベルへ深まる際につまずきやすい問題点を取り上げる。セラピストからの介入の方法を考える中級編。


はじめに
〈初級編〉の概要/〈中級編〉の概要

第一章 イマジネーション以前の諸問題
事例の概要と見立て/初期のイマジネーション/初期のマテリアルの全般的解釈/連続した三つのヴィジョンをめぐって/光明の階梯/転移と行動化

第二章 沈没船の底へ-転移の深まり
夢を端緒とするイマジネーション/古くて新しい課題への再挑戦/分析家もアクティヴな態度で臨む/個人的は病理との対決/袋小路からの脱出

第三章 導きの道-新しい視点に慣れる
個人的アニムスとの出会い/自問自答に注意する/聖域にまつわる死と狂気に備える

第四章 館への招待-共時性への経験
共時的現象の準備段階/共時的現象の発生/共時的現象からさらなる個性化へ/パッシヴな自我に無意識が好意的に反応する場合

第五章 紡ぎ女の秘密-被害者と加害者のパラドックス
女の仕事/リハーサルを生かす/被害者と加害者/抑うつ状態でのアクティヴ・イマジネーション

第六章 対決と変容-個人的問題の最終局面
夢に助けてもらう/自我の仕事/転移のなかの意識の種/儀式化を促す/扉の向こう側

第七章 扉を開く-元型的な世界へ
変容のブラックボ

はじめに

〈初級編〉の概要 このシリーズは、アクティヴ・イマジネーションの実際を、臨床家、一般読者を問わず広く知っていただくためのもので、①「無意識と出会う」(初級編)、②「成長する心」(中級編)、③「元型的イメージとの対話」(上級編)の三巻構成になっている。これだけの紙幅を費やすのは、アクティヴ・イマジネーションが、その細部まで徹底的に知っていただくだけの価値と魅力を持っているからである。

 アクティヴ・イマジネーションは、乖離なき一つの全体としての心を実現しようとする、ユング派の分析技法である。〈初級編〉では、その理論的背景と方法を述べ、実践開始直後に遭遇しやすい諸問題について検討した。とくに、自我の「アクティヴ」な態度とは何かということに焦点を当て、そのような態度の養成と維持を目標として論じたつもりである。〈中級編〉に進むに先立ち、〈初級編〉の要点を以下、簡単にまとめておこう。

 私たちの意識と無意識の間には多かれ少なかれ乖離が生じており、過度になれば、神経症をはじめとするさまざまな問題が起こってくる。そこで、この乖離を癒す治療が必要となるのだが、これは非常に難しい作業である。分化した両者このプロセスをユングは折衝と呼んだ。折衝の場となるのはイメージの世界。自我は無意識(正確には無意識由来のイメージ)を相手にして、イマジネーションの世界で何らかのやりとりを行なう。このやりとりを通して折衝がなされるのである。

 自我が折衝に臨むとき、いちばん重要になるのが「アクティヴ」な態度である。アクティヴな自我とは、自我としての機能を充分に発揮している自我のことをいう。具体的には、意識の四つの機能、すなわち思考、感情、感覚、直観を可能なかぎり駆使して、イマジネーションの世界の諸状況や相手のふるまいの意味を理解し、こちらから返す反応をしっかりと意識的に選択して実行する。これが「アクティヴ」と呼びうる自我の態度である。

 この選択された自我のふるまいに対して、今度は相手が、つまり無意識の側が何らかの反応を示すだろう。イメージが動くのだ。自我はまたその反応の意味をよく考えて、みずからの次なるふるまいを意識的に選択、実行する。折衝はこのようなやりとりのくりかえしのなかでなされていく。両者が主張し合い、譲り合って、イマジネーションが先へと展開するのである。このとき自我がアクティヴならば、無意識はたいてい好とである。

 無意識は少しでも多く理解されたいと願っているので、自我によるこうした意識化の努力を高く評価してくれる。自我がつねにアクティヴであろうと努めているのなら、袋小路に入って行きづまってしまっても、無意識は何らかの助け舟を出してくれるだろう。結果的に、両者は互いに歩み寄ることになる。自我と無意識との深い乖離は、これによって多少とも癒されるのである。・・・・

内容説明

転移、夢、共時性といった現実の問題を手がかりに、より深い心の世界にふみこむ。イマジネーションを長期間、効果的に展開させるための技法を具体的に説く。

目次

第1章 イマジネーション以前の諸問題
第2章 沈没船の底へ―転移の深まり
第3章 導きの道―新しい視点に慣れる
第4章 館への招待―共時性の経験
第5章 紡ぎ女の秘密―被害者と加害者のパラドックス
第6章 対決と変容―個人的問題の最終局面
第7章 扉を開く―元型的な世界へ
第8章 結合の神秘―螺旋のプロセスをたどる

著者等紹介

老松克博[オイマツカツヒロ]
1959年生れ。1984年、鳥取大学医学部卒業。1992‐95年、チューリッヒ・ユング研究所に留学。現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授。ユング派分析家。日本ユング心理学研究所シニア・アナリスト。臨床心理士。精神科医。博士(医学)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Gotoran

42
老松著『アクティヴ・イマジネーションの理論と実践』シリーズ全3巻の内の第2巻目が本書。直接的に心の根源的な矛盾や対立に立ち向かうための探求法と云うアクティヴ・イマジネーション。転移、夢、共時性といった現実の問題を手掛かりに徹底的に意識的に自覚的に無意識と関わり、より深い心の世界に踏み込むイマジネーションを長期間、効果的に展開させるための技法が具体的に解説されている。ユング派精神分析の最も重要な技法の解りやすい解説書に他ならない。興味深く読むことができた。引き続き最終巻も読んでゆきたい。2021/04/29

カバラン

1
通読。技法論の例示として参考にしたい。ただ、抵抗なく絵を描いたり、ハガキが書けるようにはしておきたい。2024/10/03

Mizuki Nagasaka

1
同じく2014/06/24

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