アクティヴ・イマジネーションの理論と実践 ユング派のイメージ
無意識と出会う

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  • サイズ A5判/ページ数 229p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784901510219
  • NDC分類 146.1
  • Cコード C3011

出版社内容情報

アクティヴ・イマジネーションとは何か。
分かりやすい事例をもとに、どうすれば実践できるか具体的に説く。いつ、どんな場合に、どう導入するか、解釈の仕方、注意事項などを具体的に示す。
ユング派精神分析のもっとも重要な技法を分かりやすく身につけるための入門書。

はじめに――内面の空虚と方向喪失への処方箋

第一章 アクティヴ・イマジネーションとは何か
 シンプルでほどよく奥深いマテリアル
 Aさんの事例
 コンプレックスの意味
 犬のイメージ
 生と死をめぐって
 攻撃する鳥
 敵の正体
 実践に向けて

第二章 ユングの分析心理学
 心の構造
 イメージと象徴
 個性化と全体性
 心の境界と共時性
 錬金術とクンダリニー・ヨーガ
 アクティヴな自我の重要性

第三章 実践のための予備知識
 イマジネーションという営み
 アクティヴとはどういうことか
 実践のための条件
 どんな問題に有効なのか

第四章 実践の方法
 実践のための一〇段階
 重い人格障害や精神病を抱えるイマジナーの場合

第五章 アクティヴな態度の効果
 任意の絵からはじめる方法
 Bさんの事例
 牛の象徴性
 解釈
 自我はアクティヴか
 アクティヴに遠慮する

第六章 パッシヴな態度の効果
 Cさんの事例
 解釈
 自我がパッシヴになるとき
 Dさんの事例
 解釈
 Eさんの事例
 解釈
 無意識は生き

はじめに――内面の空虚と方向喪失への処方箋 

 自分の内面を見つめる方法はたくさんある。代表的なのはさまざまな心理療法だが、そのなかにさえ、深いところまでじっくり探求できるやり方はあまりない。無意識の内奥に隠された「超越的な癒しと救いの力」は、宝の持ち腐れ状態になっているのだ。ユング心理学で用いるアクティヴ・イマジネーションは、そうした力を引き出すために私たちが無意識と直接にやりとりできる、他に類を見ない方法である。

 アクティヴ・イマジネーションは、スイスの深層心理学者、カール・グスタフ・ユング(一八七五~一九六一年)が発展させた精神分析と心理療法のためのテクニックである。この方法では、私たちが日頃、何気なく行なっている想像という行為が持つ可能性を徹底的に追求する。一般に、日常の想像活動はひどく漠然とした刹那的なものになっている。ある想像を何週間、何カ月にもわたって一つのストーリーとして発展させ続けてみる、ということを試みた経験のある人は、そうはいないだろう。にもかかわらず、ほとんどの人は、想像がもたらすものの限界を知っている気になっている。だが、ちがう。あなたは、その途方もない可能性をまだ知らある。それに対して自我がある行動をすれば(もちろんイメージの世界で)、そこには自我の意見が反映されることになる。それから、再び無意識に自由に動いてもらう。つまり、次の場面が思い浮かぶに任せるのだが、これは先の「自我の意見」に対する無意識からの主張となっている。そこで、次には自我が……というふうに、いわばイメージのキャッチボールを行ない、一つの物語のかたちにしていくのである。

 こうして自我が無意識からのメッセージを読み解いて意識化していくと、無意識はたとえば神的な存在として登場するようになり、しばしば奇跡を起こす。私たちの魂は震撼させられるのだ。それは現実の世界にも波及して、癒しや救いが経験される。心理的、身体的な諸症状の消失や軽減、精神的な安らぎやある種の洞察ないしは悟りがもたらされるだろう。もちろん奇跡はつねに生じるわけではないが、だとしても、重い苦悩や症状を意味あるものとして抱えていけるようになることが多い。他のいくつかのコツも身につけた上で、アクティヴ・イマジネーションを半年から一年くらい続ければ、それが実感できるようになってくる。考え方や生き方はずいぶん変わっているだろう。・・・


本書を推薦します―
●ユング心理学研究の新しい頁を開く ―樋口和彦(日本ユング心理学研究所所長)  
ユング心理学に深入りする者は、一度は悪魔や天使が棲む世界にほんとうに足を踏み入れて、生身の体でもう一度この世界に出て来たい、と思うときがある。はたして、それは可能か。この本は、その手だてを、実際に誤ることのないよう述べてくれる待望の書であり、アクティヴ・イマジネーションについて詳述された、初めての書である。ごく最近、わが国でも分析家の資格のとれるユング研究所が誕生した。
 著者は、チューリッヒのユング研究所で資格をとり、トレーニング・アナリストとして、そこで中核的に活躍する新進気鋭のユング派分析家である。日本でユング研究所が発足するにあたって、その神髄であるアクティヴ・イマジネーションについて、すぐれた著作が出版される意義は大きい。これによって、分析の過程で意識が無意識に奪われかねないようなわが国の誤った現状が正され、ユング心理学研究に新しいページが開かれるものと期待している。

●無意識との対話への、誘いの書 ―諸富祥彦(明治大学文学部助教授)
本シリーズのすばらしさは、その実践性、つまりプラク真に有用な実践的指導書が待望されて久しかった。 
 今回、この方法のわが国における第一人者である老松克博氏によって、内容別に三冊に分かって深慮熟考された本シリーズは、真にお勧めするに足る充実した書である。自身の心の探求に興味をお持ちの一般の読者から、ユング派の専門家に至る、広く深いスペクトルを射程とする本書を、確信をもってお勧めする次第である。

●人生にとって本当に大事なこと―池田晶子(文筆家)
「イメージする」ということがどういうことなのか、私はずっと知らなかった。逆から言えば、私は自分がイメージすることができない人間なのだということを、最近になって知ったのである。「思い浮かべる」と言って、視覚像など、見えたことがない。論理的に考える長年の習慣のため、そういう回路が、悲しいかな脱落してしまったらしいのである。 
 このような技法を実践できる人は、幸いである。自分を超えたものを認めるということは、人生にとって、本当に大事なことだ。人類はそのために様々な技法を開発してきたけれども、能動的受動性とは、まさにその要諦だろう。自我主義の破綻が明らかな現代世界において、このような技法が、新たな世界への扉を開く

内容説明

興味深い事例をもとに、イマジネーションが展開する見取り図を具体的に示す。ユング派精神分析のもっとも重要な技法を分かりやすく解説する初めての指導書。

目次

第1章 アクティヴ・イマジネーションとは何か
第2章 ユングの分析心理学
第3章 実践のための予備知識
第4章 実践の方法
第5章 アクティヴな態度の効果
第6章 パッシヴな態度の効果

著者等紹介

小早川光郎[コバヤカワミツオ]
東京大学法学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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Gotoran

52
ユング創設で河合隼雄先生とその師シュピーゲルマン博士により能動的想像法として紹介された心の探求法と云うアクティヴ・イマジネーション。とは何ぞや?分かりやすい事例を紹介・解説しながら、如何にすれば実践できるかが具体的に説明されている。「おわりに」で著者は云う”アクティヴな態度だけが、無意識の立場や要求を受け入れつつ自我の尊厳と存在意義を強化する、という不可能を可能にする。アクティヴ・イマジネーションは、直接的に心の根源的な矛盾や対立に向き合う、唯一の方法なのである。”と。納得。共感・共鳴した。2021/01/09

カバラン

1
通読。馴染みの薄い理論と実践であるため、再読する場合は図書館の相互貸借制度を利用するか、再版を待つ。2024/09/30

Mizuki Nagasaka

1
彼の本をやっと読んだ。直接言うか。2014/05/19

1
(T)自我が、アクティブな態度を保つことが重要。2012/06/24

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