出版社内容情報
イメージの身体、サトル・ボディとどうつきあうか。
拒食症をはじめとする様々な心身症、臓器移植をめぐる混乱、
破壊的カルト問題はなぜ起こるのか。
<見えないからだ>の魅力と危険を説き、心の全体性をとりもどす道筋を示す。
第一章 生と死をめぐる混沌
見えない「からだ」/不壊のからだへの憧憬/歪むボディ・イメージ―拒食症の問題/奇妙な幻覚―セネストパチーの真実/臓器移植にまつわる心理学的問題/臨死体験と霊的なからだ/いわゆる破壊的カルトとサトル・ボディ
第二章 もうひとつのからだ
サトル・ボディと深層心理学/クンダリニーの覚醒/七つのチャクラ/タントリズムと性/煉丹術/錬金術
第三章 闇に歌う神―ユングのサトル・ボディ論(I)
ユングとヨーガの出会い/ユングのヨーガ論の発展/ユングのチャクラ論-ムーラーダーラとスヴァディシュターナ/ムーラーダーラとスヴァディシュターナのヴイジョン/もうひとつのヴィジョン
第四章 大蛇の舌―ユングのサトル・ボディ論(II)
マニプーラからアナーハタへ/アナーハタ・チャクラの「精神」の世界/アナーハタとマニプーラのヴィジョン/アナーハタ・チャクラの恐ろしさ/ヴィシュッダとアージュニャーのヴィジョン
第五章 サトル・ボディの諸相
中間領域としてのサトル・ボディ/共時性とウヌス・ムンドゥス/こころとからだ
サトル・ボディとは、いわば、イメージでできた身体だが、だからといって、恣意的な
ご都合主義の産物ではない。不思議なことに、一定の構造が備わっている。クンダリニー・
ヨーガにおけるチャクラ(エネルギー中枢)とナーディ(エネルギーの通路)、中国医学に
おける経穴と経絡などは、そうした精緻な体系の代表といってよい。その他、錬金術師が
追い求めた賢者の石や栄光の身体、煉丹術の目標とされた金剛身なども、結局はすべてこ
の類のものであり、ことごとく「こころとからだの中間領域」を指し示している。
サトル・ボディは肉体とちがって不壊であり、古来、多くの宗教家たちが求めてやまな
かった解脱や救済と本質的に変わりがない。変わりはないが、困ったことに、それは両刃
の剣である。つまり、大いなる可能性を秘めている分、ふさわしい扱い方を知らなければ
危険きわまりない代物なのだ。この危険、宗教家以外には無縁ということであればよいけ
れども、残念ながらそうはいかない。今、サトル・ボディの荒々しい侵入ゆえと思われる
混乱が、社会のあちこちで急速に目につくようになってきているのである。
たとえば、心身症の増加といする際に要求される姿勢を的確に教えてくれることだろう。
内容説明
拒食症をはじめとする様々な心身症、臓器移植をめぐる混乱、破壊的カルト問題はなぜ起こるのか。「見えないからだ」の魅力と危険を説き、心の全体性をとりもどす道筋を示す。
目次
第1章 生と死をめぐる混沌
第2章 もうひとつのからだ
第3章 闇に歌う神―ユングのサトル・ボディ論(1)
第4章 大蛇の舌―ユングのサトル・ボディ論(2)
第5章 サトル・ボディの諸相
第6章 時空人の心理学
著者等紹介
老松克博[オイマツカツヒロ]
1984年、鳥取大学医学部卒業。1992~95年、チューリッヒ・ユング研究所留学。現在、大阪大学大学院人間科学研究科助教授。ユング派分析家。臨床心理士。精神科医。医学博士
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