内容説明
ごく普通のサラリーマンは通勤途中に逮捕され犯罪者にされた―。記者が追いかけた、痴漢冤罪事件868日の真実。
目次
第1部 東京地方裁判所(逮捕・起訴~初公判―まるで、拉致されたようだった;第二回公判(被害者尋問)―なぞの再現実験が発覚
第三回公判(証拠整理)―ああ、こんなに違うんだ
第四回公判(巡査への証人尋問)―これが時計だ ほか)
第2部 東京高等裁判所(第一回公判(控訴趣意書陳述)―正しい眼でもう一度調べてください
第二回公判(大学教授・弁護士への証人尋問)―心理学が解き明かす
第三回公判(被告人質問)―裁判長が時計をしている左手首をつかんだ
第四回公判(被害者尋問)―左手には何も持っていなかった ほか)
著者等紹介
小澤実[オザワミノル]
1965年生まれ、東京都出身。1987年に共同通信社に入社し、現在、メディア局編集部勤務。プライベートな時間を使って身近な社会問題を中心に取材している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
72
痴漢冤罪事件の記録。主人公が電車内でいきなり痴漢と呼ばれて逮捕、起訴そして被告人として裁判の経緯が細かく描かれている。痴漢という決して大きくはない罪状でも間違えられた人間にとっては人生を大きく狂わされることがとても怖い。主人公ははじめからやっていないことを言い続けながらも捜査機関のずさんさもあり結局は控訴審までもつれこむ。再現実験まで行いこの間約二年半だ。もし自分のことをうまく伝えられない人だったらどうなるのだろう、支援してくれる周囲がいなかったらどうなるのだろうと考えるほどゾッとする。図書館本2016/12/29
AICHAN
28
図書館本。満員電車の中で女子高生が誰かに痴漢された。電車を降りるとき彼女は被告人のトレーナーを掴んで「痴漢! ふざけんじゃねーよ!」と叫んだ。あとは現行犯ということですぐさま犯人扱いされ恫喝されいい加減な調書を取られ、牢屋にぶち込まれる。裁判になって、弁護側は被告人が犯人とは思われない理由を突きつけるが検察は逮捕した巡査を証人に呼んでのらりくらりと言い抜ける。昔、タクシー運転手をしていたときヤクザに絡まれ脅迫された。仕方なく交番に行ったら「あんたはお客を犯罪者扱いすんのか」って。警察は誰の味方なのだ?2017/01/21
なっちゃん
12
昔、「それでも僕はやってない」という痴漢の冤罪をはらす映画がありました。その元になった事件のルポでした。警察の高圧的な取調、ずさんな捜査。主人公と家族の、無罪を勝ち取るまでの長い期間に渡る心身共に地獄のような日々、それを考えると、冤罪は、警察に慰謝料請求できないだろうか、と考えてしまった。2012/08/18
Happy Like a Honeybee
5
映画「それでも僕はやっていない」と同じ冤罪を扱ったルポタージュ。満員電車が不可抗力な人は擬似体験すべき一冊。痴漢を疑われ、収入が途絶えるばかりではなく様々なトラブルが…。痴漢疑惑で線路に飛び降りる心境も理解できる。 2017/06/30
ミチ
4
ひどい話である。やってもいない痴漢として冤罪にされ自分を始め家族に被害がもたらされる。間違って痴漢にされると思うと非常に怖い!2023/10/28