内容説明
仏語圏スイスを飛び出し、欧米各地を渡り歩いたブレーズ・サンドラールは、フランスの首都を突き抜けて、どこでもない場所、すなわち“郊外”へと身を投げた。無個性の灰のうちに熱い熾火の生を読み、呪詛の詩法で時空を超える詩人の呼吸が、いま新しい日本語でよみがえる。写真家ロベール・ドアノーとの共作『パリ郊外』(1949年刊)の序文として書かれながら独自の価値をもつ、ルポルタージュ文学の傑作。
目次
南
西
東
北
著者等紹介
サンドラール,ブレーズ[サンドラール,ブレーズ][Cendrars,Blaise]
1887年9月1日‐1961年1月21日。スイスのラ・ショー=ド=フォンに生まれる。子どものころから、イタリア、ロシア、ドイツなどを転々とし、パリに落ち着く。創作活動の傍らシャガール、レジェ、モディリアーニなどの画家たちと交流し、1912年に発表した長篇詩『ニューヨークの復活祭』は、アポリネールにも影響を与えたとされる。第一次世界大戦ではフランスの外人部隊に従軍するが、戦闘中に重傷を負い、右腕を失う
昼間賢[ヒルマケン]
1971年生まれ。パリ第4大学博士課程給費留学、早稲田大学大学院博士課程単位取得退学。立教大学兼任講師。専門はフランス両大戦間の文学と文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rabbitrun
4
エトランゼの描くパリ。ミラーの「北回帰線」と似た文章を想像したが、随分趣が異なる。戦前と戦後、市内と郊外の違いのせいだろうか。2014/11/04
qoop
1
都市の成長にとって必要とされながら、中心には容れられないモノが建てられる場所・郊外。集合住宅、工業団地、労働者列車の始発駅…郊外とは、都市の〈現在〉を見せる場所であり〈将来〉を示唆する場所でもある。パリという、歴史が幾層にも積み重なる都市の郊外へと向けられた著者の強力な視線は、そこを透して中央を射抜く。2012/04/25
ひかり
0
再読2014/08/22