内容説明
人は旅に何を求めるのだろうか?快楽だろうか、精神のやすらぎだろうか?日本人の死生観は人生を「旅」と教え、死装束で旅に出た。芭蕉がそうであり、四国の巡礼たちがそうである。日常を離れて人生を問うこと、それは人生50年の昔も高齢社会の現在も変わらない。底に流れているのは釈迦の思想であり、自然をどう捉え、どう向き合うかということだ。しかし、旅人を取り巻く自然や農村の姿は既に荒廃の兆しを見せている。作家立松和平は、「貧者の一灯」のように木を植え、米をつくる努力を営々と続けている。身の丈のシャツを着るように、できること、確かなことからやろうというミニマムの思想によって、人と自然・社会との物語の復活を試みようとしている。
目次
精神のバランスを求めて旅に出る
身の丈に合わせて生きる
著者等紹介
立松和平[タテマツワヘイ]
1947年栃木県生まれ。早稲田大学政経学部卒。在学中に『自転車』で第1回早稲田文学新人賞受賞。土木作業員、運転手、市役所職員などを経て、80年に『遠雷』で第2回野間文芸新人賞受賞。以後、旅する行動派作家として活躍。自然や食を題材にした紀行やエッセイも数多く、環境保護のための取り組みも幅広く行っている
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