出版社内容情報
サル好きの民族といわれる日本人の間では、「サルはマスターベーションを覚えたら死ぬまでやめない」「死んだわが子を抱きつづける母性愛あふれる母ザル」など、「生と性」にまつわるサルの話は、どこかおろかしく「本能」が誇張されている。そんなイメージを払拭し、サルたちの暮らしぶりをじっくり観察してみよう。
出産や子育てさえ、学習しなければできないのは、サルも人もヒトと同じ。サルたちの姿から、わが身をふり返ってヒトの「生と性」を考える、サル研究者のユーモアあふれる報告書。
第1章 検証「ニホンザルの二つの神話」
第2章 オトナへの道
第3章 食欲と性欲
第4章 オスの魅力・メスの魅力
霊長類の共通の祖先が地球上に現れたのは、いまから6500万年から7000万年くらい前のことである。現存するツパイ類のような、体長わずか十数センチのご先祖さまは、チョコマカと忙しげに動きまわり、同じような生活をしていたコウモリの仲間(翼手目)のように空に飛び上がらず、モグラの仲間(食虫目)のように地下にもぐらず、樹上に生活の場を広げた。
ご先祖さまが本拠にした樹上生活こそが、現在の百七十余種(二百余種に分ける学者もある)の霊長目に共通する特徴をつくりあげたといわれている。空に飛び上がらず、地下にもぐらず、樹上に生活の場を広げたご先祖さまに、私たちは、心から感謝しなければなるまい。(中略)
遠い昔に枝分かれをして、それぞれの道を歩きはじめたヒトを含めた霊長目のそれぞれの種は、お互いに似た部分と異なる部分をもっている。
本書で私は、サル類をより理解していただくという立場から、彼らと私たちヒトとの生と性と生殖などの類似や相違についてのお話をしたいと思う。私たちヒトの「来し方行く末」を考える材料の一助になれば望外の喜びである。
恋も出産も子育ても本能だけでは出来ません。サルたちの様子から、わが身をふり返ってヒトの「性と生」を考える、サル研究者のユーモアあふれる報告書。
内容説明
サル好きの民族といわれる日本人の間では、「サルはマスターベーションを覚えたら死ぬまでやめない」「死んだわが子を抱きつづける母性愛あふれる母ザル」など、「生と性」にまつわるサルの話は、どこかおろかしく「本能」が誇張されている。そんなイメージを払拭し、サルたちの暮らしぶりをじっくり観察してみよう。出産や子育てさえ、学習しなければできないのは、サルもヒトと同じ。サルたちの姿から、わが身をふり返ってヒトの「生と性」を考える、サル研究者のユーモアあふれる報告書。
目次
第1章 検証“ニホンザルの二つの神話”(“ボス”神話;“母性愛”神話;生も性も「本能」だけでは語れない)
第2章 オトナへの道(コドモからオスへ;コドモからメスへ;コドモを産む体に;ヒトの性・サルの性)
第3章 食欲と性欲(サルと食べ物の噂話;マスターベーションの話;性欲とはなんだろう)
第4章 オスの魅力・メスの魅力(“色気”づくころ;異性を惹きつけたい;男女の仲はややこしい;男らしさ・女らしさ)
著者等紹介
和秀雄[ニギヒデオ]
1939年鹿児島県奄美大島生まれ。北海道大学獣医学部卒業。獣医学博士。(財)日本モンキーセンター研究員、日本獣医畜産大学教授、大阪大学大学院教授を経て、現在、広島国際大学社会環境科学部教授。『ゴンはオスでノンはメス』(どうぶつ社)で、第39回毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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