出版社内容情報
性的マイノリティの生徒(または教員、その他)とかかわりをもちながらも、その対応に行き詰まっている方、性教育に興味をもち、そこに性的マイノリティのことも入れたいが、どう取り入れればいいかわからない、現在の学校での「しがらみ」の中で性的マイノリティを扱うことに不安を感じている方、これまで性の問題、性的マイノリティの存在など考えたことがなかった方などに役立つ実践・情報・理論を紹介。
PART1 セクシュアリティをめぐる現実と課題
【解説】性的マイノリティの子どもたちが直面する4つの課題
【母親の手記】自分に誇りをもち、堂々と生きてほしい
【論文】多様なセクシュアリティと「性の体制」
【論文】 学校文化と異性愛主義
PART2 多様なセクシュアリティを学ぶ授業
【小学校】刷り込まれた偏見と差別に気づく
【中学校・学級活動】好きになる人はいろいろ、想いの純粋さは同じ
【中学校・社会科】ナチスドイツによる同性愛者虐殺について学ぶ
【中学校・英語】ハーヴェイ・ミルの実話を教材に他者理解を深める
【高校・生物】自然界の多様で豊かな性を知っていますか?
【高校・国語】同性同士のセックスはいけないの?
【聾学校・高等部】同性愛者からの「家族への手紙」で学ぶ
【高校・保健科】自慰からセクシュアリティの多様性を考える
【高校・家庭科】自分が家族だと思ったものが家族
PART3 さまざまなサポートグループ
●性的マイノリティの子どもたちのためのグループ
●多様なセクシュアリティをもつ人々のためのグループ
●他者と出会い自分を語り合う場
●親のゆっくりとした自然な受容をめざす活動の場
●セクシュアルマイノリティ・教職員ネットワーク
PART4 海外情報/性的マイノリティ関連団体・書籍紹介
●世界の性的マイノリティの人権保障と教育事情
●性的マイノリティ関連団体情報
●おすすめの書籍
学校社会では、まだまだセクシュアリティを人権の問題としてとらえる土壌は醸成されていません。教室の中だけではなく、学校図書館、特別教室、学校行事などさまざまな場(所)で、隠れたカリキュラムとして異性愛主義の強制、性的マイノリティに対する差別は存在します。
当然のことながら、教室にも、職場にも、近所にも、あるいは家庭にも、電車の中でたまたま隣り合わせた人の中にも、人知れず悩んでいる性的マイノリティは存在しているはずです。しかし、性的マイノリティは他のマイノリティと異なり、いちばん理解してほしい家族の中に同じマイノリティが存在することが極めて少なく、そして外見からではなかなかわかりにくいため、家族も中でも学校でも物理的・心理的に孤立しがちです。
この本は、主に教室の中での性的マイノリティに対する支援のしかたを、さまざまな実践をもとに紹介しています。しかし、それはマイノリティに対する支援にとどまりません。マジョリティの子どもたちに対して、マイノリティと対立するのではなく、どのようにして共生していくか、ということを同時に示唆し、伝えることにもなるからです。子どもたちが学校という場を巣立った後にも生かせるはすです。
性的マイノリティに属するほとんどの子どもたちは、社会が抱える差別や偏見=外なるホモフォビア(同性愛嫌悪)と、その社会から影響を受け、自らを否定しようとする自己=内なるホモフォビアの両方に対峙し、アイデンティティを確立するという過程の真っただ中で苦しんでいます。
そんな彼らを励まし、勇気づけ、また彼らとの共生をはかることができるマジョリティの生徒を育むことの一端は、私たち教員の肩にかかっているといっても過言ではありません。本書で紹介されている実践を踏み台にして、読者のみなさんが新たな、より充実した教育実践を重ねることで、1人でも多くの悩み苦しんでいる子どもたちが救われることを願ってやみません。
中学・高校の授業におすすめします!図書室にも!
内容説明
どこの学校にもいるセクシュアルマイノリティの子どもたち。当事者の視点から「人権と共生の教育」に新たな一歩を刻む。
目次
1 セクシュアリティをめぐる現実と課題(解説 性的マイノリティの子どもたちが直面する四つの困難;母親の手記 わが息子へ―自分に誇りをもち、堂々と生きてほしい ほか)
2 多様なセクシュアリティを学ぶ授業(授業実践・小学校―刷り込まれた偏見と差別に気づく;実践・中学校学級活動―好きになる人はいろいろ、想いの純粋さは同じ ほか)
3 さまざまな「サポートグループ」(性的マイノリティの子どもたちのためのグループ HAPPY SWING;多様なセクシュアリティをもつ人々のためのグループ Various Sexuality Group ほか)
4 海外情報/性的マイノリティ関連団体・書籍紹介(世界の性的マイノリティの人権保障と教育事情;性的マイノリティ関連団体情報 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おたきたお