感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
3
理解の程は怪しいにせよ、とりあえずこのシリーズ全巻を読了して、これまで読まれてきた『講義』の意味について改めて考えさせられることに。訳者後書きにあるように、『講義』もそれに基づいた研究や思想も、ソシュール本来の思想とはかけ離れたものであり、下手したら一世を風靡した構造主義という思想的潮流の意味さえ危うくなりかねない。このシリーズにも勿論訳や、訳注の不手際など、問題はあるだろう。しかし、今後ソシュールの思想を知るためには、まずこのシリーズを手に取るべきでは?という気にさせられた。画期的仕事だと思う。2014/02/01
Omelette
2
第一、第三講義に較べると抽象的で、原理的。一般言語学がそれまでの言語学への批判として立ち上がったことを示す。弟子への手紙で「これまで言語学者がやってきたといえば、あらかじめ存在する、先入観に満ちたカテゴリーに言語の事象をあてはめることだけだった」と不満を漏らしています。これまでの言語学の何が問題だったのか、これからの言語学では何を問題とすべきか、がまさにライブで語られる。手さぐりという印象を受けます。初出の夏季講義は訳がやや苦しい。訳注を本文に組み込むのはうるさいが、中身は有益でした。2010/10/21