内容説明
1926年上海。魔都であり幻想の市街であるこの都市の一角に佇む娼館「春桃桜」。娼館の女たちは、それぞれの闇を持っている。客である男たちにも心の闇がある。そして男たちは、娼館の中でその闇をあらわにする。心の闇と、エキゾチックで官能的な世界を描く。
著者等紹介
寺山修司[テラヤマシュウジ]
1935年青森県弘前市生まれ。早稲田大学在学中より歌人として活躍。1967年、演劇実験室「天井桟敷」主宰。多くの人を魅了した演劇、映画、詩、俳句、エッセイなどのジャンルに加え、若い女性を対象に「フォア・レディース・シリーズ」(新書館)にみられる、童話、少女詩集といった叙情的作品も数多く残している。1983年没
宇野亜喜良[ウノアキラ]
1934年生まれ。名古屋市立工芸高校図案科卒業。カルピス食品、日本デザインセンター、スタジオ・イルフィル、スタジオ・Reを経てフリー。日宣美特選、日宣美会員賞、講談社出版文化賞挿絵賞、サンリオ美術賞、赤い鳥挿絵賞。1999年紫綬褒章受章
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感想・レビュー
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夜間飛行
171
寺山修司の映画を基に、宇野亜喜良が舞台用の脚本を書き、それを絵本にしたもの。大元は「O嬢の物語」というフランスのエロチックな小説であり、それを映画にした上にさらに戯曲、そして絵本にする、という複雑な過程を経て創られている。レアージュ、寺山、宇野それぞれの創造がこの小さな本に込められているのだ。宇野はヒロインを桜(おお)という日本娘に変え、寺山の本から採った言葉を詩のように挟み込み、登場人物の歌や踊り、豚のマスクや桜の入れ墨など映画にはない心象を浮遊させ、独特なタッチの画を添えて新しい世界を切り拓いている。2023/09/17
♪みどりpiyopiyo♪
35
「ジーン・ハーロウの映画、観たことある?」 ■舞台の脚本に挿画した絵本。1926年上海。魔都であり、幻想の市街であるこの都市の一角に佇む娼館「春桃楼」が舞台。■エキゾチックで官能的。夢と現の狭間に揺蕩うような。これぞ寺山修司 なのでしょうか?(よく知らない)(2004年出版)(→続2019/08/11
cocoon
6
妖艶。映画版が見てみたい。2016/05/20
かおりーぬ
3
これをもとにしてかつてコンテンポラリーダンスの公演を制作したのだけど、思い出深い。緒川たまき✕川井郁子さんの出演で。宇野さんが舞台美術をプロジェクトニクスで始める切っ掛けにもなった公演だったの。懐かしい。
スプーン
3
舞台を元にした絵本。退廃の美学。悲しきエロチシズム。皆、孤独だなぁ。2015/11/10
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