内容説明
在日韓国人として生を享け、希望に満ち多感に過ごした少年時代。自分を持て余した青年時代。僕は日本人なのか、韓国人なのか―。だが、彼にはヴァイオリンがあった。弾くことで自分を探すことができたのだ。やがて、「在日」の自分だからこそ出せる音があると気づき、そして自分にしか伝えられないことがあるのだと知る。原爆慰霊碑の前で、あるいは事故現場となった駅舎の前で、いつしか鎮魂歌を奏でるヴァイオリニストの姿があった。気負うことなく、てらいもなく―。「裸足のヴァイオリニスト」と呼ばれるジョン・チャヌの半生を描いた渾身のノンフィクション。
著者等紹介
篠藤ゆり[シノトウユリ]
国際基督教大学卒業後、コピーライターとして広告代理店に勤務。退社後、世界各地を旅する生活を経て、1991年、『ガンジーの空』で海燕新人文学賞受賞。以後、主に旅と食のエッセイを中心に雑誌などで活躍中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。