内容説明
三度目のブッカー賞候補作「サマータイム」に「青年時代」「少年時代」を併せたノーベル賞作家クッツェーの自伝的三部作を渾身の訳で。
著者等紹介
クッツェー,J.M.[クッツェー,J.M.] [Coetzee,J.M.]
1940年、ケープタウン生まれ。ケープタウン大学で文学と数学の学位を取得。英国のコンピュータ会社で働きながら詩人をめざす。65年、奨学金を得てテキサス大学オースティン校へ、ベケットについて研究し博士号を取得。68年からニューヨーク州立大学で教壇に立つが、永住ヴィザがおりず、71年に南アフリカに帰国。以後ケープタウン大学を拠点に米国の大学でも教えながら、初小説『ダスクランド』を皮切りに、南アフリカや、ヨーロッパと植民地の歴史を遡及する、意表をつく、寓意性に富んだ作品を次々と発表し、南アのCNA賞、フランスのフェミナ賞ほか、世界的文学賞を数多く受賞。83年の『マイケル・K』と99年の『恥辱』では英国のブッカー賞を史上初のダブル受賞。03年にノーベル文学賞を受賞
くぼたのぞみ[クボタノゾミ]
1950年、北海道新十津川生まれ。翻訳家、詩人。東京外国語大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やいっち
13
生まれながらに多言語の環境にあり、しかも、自国語ではなく、親には英語の使用を強制され、学校では違う言語を使わないと仲間外れにされる(使っても、異分子扱いされるのだが)。 そうした環境に生まれ育てば、言語(など)の使用には自覚的になり、反省的になり、批判的にもならざるを得ないのだろう。 だが、そうした環境を生きても、だれでもが、クッツェーになれるはずもない。2016/11/08
rinakko
6
「少年時代」は先に読んでいたので、「青年時代」と「サマータイム」を。解説の内容が充実していて、他の作品を読んできた後にたどり着いたのはよかった。2019/03/29
M H
5
自伝を模した3編。<自伝>であって自伝でないことは訳者の解説で詳しく説明されている。「少年時代」、「青年時代」と時代が進み、「サマータイム」ではクッツェーが死んだことに。周辺の人間に生前のクッツェーについてインタビューする形式でこれが一番面白かった。どうしてもセックスの話を入れたいのかw「青年時代」にも書いてあるじゃない。 他作品でも感じれらる突き放したような乾いた雰囲気は今作にもあってたまらなく魅力的。私の頭では読解できない内容だけど読んでみて良かった。2018/08/18
ヒグフミ
5
クッツェーすごいな。端正な文章が心地よくて少しずつ長い期間読んでいた。自分を題材にここまで客観的にかけるのか。他者からの容赦ない語り、自問自答に脱帽。2015/04/09
na-ko
3
ノーベル賞作家クッツェーの自伝的小説三部作。クッツェーの死後、彼の研究者が、彼の関わった人物にインタビューする形式で書かれた『サマータイム』がすごく良い。その中でも、一人目の不倫女ジュリアと、三人目のブラジル人ダンサーアドリア―ナの語るクッツェーが恥ずかしくて面白い。虚構とわかりながらも、私小説として引き込まれてしまう。2014/09/03