内容説明
『世界史の構造』刊行以降の思想の深化を踏まえ、3.11大震災・原発事故により新たに直面した状況に対応して、いち早く著者自身によって読み直された『世界史の構造』をめぐる思考の軌跡。大澤真幸、苅部直、岡崎乾二郎、奥泉光、島田雅彦、佐藤優、山口二郎、高澤秀次らとの、『世界史の構造』をめぐる徹底討議七本を併録した、決定版『世界史の構造』リーダー。
目次
震災後に読む『世界史の構造』
未来について話をしよう(苅部直)
資本主義の終り、アソシエーショニズムの始まり(大澤真幸/岡崎乾二郎)
生産点闘争から消費者運動へ(高澤秀次/〓(すが)秀実(司会))
交換様式論の射程(奥泉光/島田雅彦)
遊動の自由が平等をもたらす(大澤真幸/苅部直/島田裕巳/高澤秀次)
協同組合と宇野経済学(佐藤優)
イソノミア、あるいは民主主義の更新(山口二郎)
著者等紹介
柄谷行人[カラタニコウジン]
1941年8月生まれ。思想家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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非日常口
18
柄谷は911以降、自分はそれまで好意的だったアナーキズムに対して批判的になったという。アルカイダやISISは一種のマルチチュードだ。パレスチナ自治区で避難所(アジール)指定されていた所さえ爆破を受ける時代、どこまでも脅威は迫ってくる。スマホに閉じ込められたデジタルな関係性は個々人をアトムと化し、どこにいても社会的拘束は免れず、一方アナログな現実の中間団体からは距離をとらせる。グローバルと言いながら、地球環境のエントロピーについて新自由主義は関心を払うだろうか。国家が規制をしなくなった資本を考える。2014/10/18
白義
16
柄谷行人としては珍しい体系的な大著、世界史の構造の理論に導入し、拡張するためのガイドブック。世界史の構造は未読だが交換様式から見る世界史の見取り図は分かりやすく、原発事故や震災などと結び付けられる形で論じられていていい具合に興味がわいた。カントの自然の狡知をフロイトの「抑圧するものの回帰」という概念から補強し、オルタナティブなユートピアとしての世界共和国に説得力を持たせようとしているが、論法のマジックじゃないの感も拭えないのでそこは世界史の構造本編を読むことで確認してみたい2015/06/10
OjohmbonX
7
なんかアメリカはだめになっちゃったし、中国もイケイケのはずが陰りももう見えてるし、EUもゴタゴタしてるし日本はずっと前から成長の見込みもないしでこの先どうなっちゃうんだろ、と普通の会社員でもぼんやり思う状況に対して、歴史的な構造の中で今がどの位置にいて、そして構造からの帰結としてこの先どうなり得るかという話の端緒を聞けてとても安心。実際に言う通りになるかどうかより、今見えている資本主義以外の可能性を考え得ると知っただけでも有益。と、アウトラインに続いて「世界史の構造」で具体的な分析を読もうと思います。2011/11/23
hitotoseno
4
柄谷は漱石を論ずるに当たって、10年程度の活動期間で作風が変わるはずがないと述べていたが、『トランスクリティーク』から10年経った上で上梓された本書を読んでみると、これだけ射程が広がるものなのかと驚かされた。「交換様式」という概念は10年前にも存在していたはずだが、その展開は経済あるいは<他者>に代表される人間関係に限られていたのに、今となっては生態系レベルの「交換」にまで広がっている。とはいえ、これだけ射程を広げても根本的な認識はまるで変わってないからまた驚かされるものだ。2013/02/09
モート
1
対談相手が全員お年寄りすぎる。2021/04/20
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