内容説明
スペイン異端審問時代の神秘体験から20世紀メキシコ/アメリカ国境の民衆信仰まで、霊的な経験のなかで生と世界とをつなぐ知を紡いでいた女性たち。幻視する彼女たちの語りを、バタイユ、ラカン、イリガライ、フーコーらの所論、そしてチカーナ・フェミニズムの言説/実践と読み合わせながら、霊性とセクシュアリティとポリティクスを切り結ばせる。一つの海と七つの世紀を越えて呼び覚ます、女たちによる知と主体の系譜学。
目次
幻視する女たち―スペイン異端審問とジェンダー/セクシュアリティ
霊と女たち(ふたりのテレサ;恋するロヨラ;グワダルーペ村の母と子;テレサ、世界の霊性;水と合一―テレサ、イリガライ、セクシュアリティ;なぜ子を殺したか;黒いスピリチュアリティ;ビラヴドを癒す;魂のピクニックを)
彼女にはこの恐怖がある名前がないということの―グロリア・アンサルドゥーアとチカーナ・フェミニズム
ミシェル・フーコーの霊性
著者等紹介
杉浦勉[スギウラツトム]
1953年‐2008年。スペイン語圏文学・文化研究。東京外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じょに
5
これは面白い。晩年のフーコーはイスラームの政治運動へコミットし、そこにある「(政治的)霊性」について関心を寄せていた。近代の主体や真理の言説=「認識的な知」が覆い隠し消去してきた「霊的な知」。スペインやメキシコの神秘主義、神秘体験、異端裁判。異端と名指され<法>の下へと引きずり出された女性たちの神との合一の告白とは何なのか。ここでジェンダーやポスコロの問題と出会う。2009/08/12
mittsko
4
非常に面白かった。フェミニズムの本であり、「魔女」たちを描いた本である。ただしそれは、非白人の、非中産階級の、異性愛者と非異性愛者の、霊性のフェミニズムであり、魔術である。著者の遺作(最後に未完稿が一本おさめられている)。記述論考の濃淡にかなりムラがあるのが残念ですが、名著といってよいかと…(*´ω`*)2019/07/25
3000
2
潜勢力の見事な解読。現在まさに起きている状況にリンクさせるように読みました。最終の未完稿がつくづく惜しまれます。2011/06/09
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- 和書
- 美しすぎる男 ダリア文庫