内容説明
マルティニク。地球を流浪する魂たちの場。セゼール、ファノンから、コンフィアン、シャモワゾーまで。その中にあって誰よりも壮麗な響きを奏で続けるクレオールの星座の結節点、それがエドゥアール・グリッサンだ。もっとも小さな情景や叫びに“世界の響き”を聴きとり、閃光とともに炸裂するカオスの中に“関係”の網状組織を見抜きつつ、あらゆる支配と根づきの暴力を否定する確信と持続。グリッサンの思考がもっとも精緻に展開された、圧倒的な批評の軌跡。ロジェ・カイヨワ賞受賞作。
目次
1 接近―一つの接岸、千の渡り(開かれた船;流浪、亡命;詩学;根づいた流浪)
2 基本要素、地水火風―基本的なものは絶対的にみずからを再構成する。(反復;拡がりと血統;閉ざされた場所、開かれた言葉;世界化されたバロックについて;詩の情報について)
3 さまざまな道程―声に出して、隔たりを記すために(クレオール化;口述する、命じる;塔を建てる;透明性と不透明性;黒い砂浜)
4 理論―理論とは不在、曖昧、そして吉兆(関係;関係とカオス;決定的な隔たり;そのそれ;結ばれ(中継され)、語られ)
5 詩学―ありつつあるもの、その実質において無限の多様(一般化;なくありつつあるもの;不透明性のために;開かれた円環、生きられた<関係>;燃える砂浜)
著者等紹介
グリッサン,エドゥアール[グリッサン,エドゥアール][Glissant,´Edouard]
1928年9月21日、マルティニク島の山村ブゾダン生まれ。詩人、小説家、思想家。デレク・ウォルコットと並ぶ、現代カリブ海文学の第一人者。ニューヨーク市立大学大学院教授。1946年、パリに留学。哲学と人類学を専攻し、同時にアフリカおよびカリブ海域に関わる種々の政治/文化運動に参加。一方で、本格的な創作をはじめる。詩集『島々の野』Un champ d’´iles(1953年)以来、数多くの著作を発表してきた
管啓次郎[スガケイジロウ]
1958年9月3日、愛媛県山間部の野村町生まれ。翻訳者、エッセイスト。70年代末、文化人類学者・西江雅之によってピジン・クレオール言語学とカリブ海文化に目を開かれる。東京大学、アラバマ州立トロイ大学、ハワイ大学、ニューメキシコ大学、ワシントン大学(シアトル)で、フランス地域研究、アメリカ文学、文化人類学、チカーノ文学、アメリカ先住民研究、比較文学を学ぶ。明治大学理工学部助教授(英語)
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