内容説明
母との葛藤に死ぬまで苦しめられた中島梓、佐野洋子の分析から飯島愛の苦しみ、さんまの笑い、なでしこジャパンの秘密、その出会いや主張の違いを語る上野千鶴子論まで。小倉千加子、7年ぶりの新刊!!結婚制度、政治、芸能、犯罪と話題は自在に飛びまわり、硬軟おりまぜて紡がれる88本のエッセイ集!!
目次
1(中島梓―葛藤する母と離れられなかった苦悩;佐野洋子―母との和解は果たせたのか;ちあきなおみ―女性ジェンダーの完全なる体現者;ホームレス歌人―元新聞記者が見た荒涼たる風景;伊良部秀輝―社会の「敵意」と戦い続けた人 ほか)
2(ターシャ・チューダーと女性の官能;父権を振りかざさない高砂親方;谷亮子の「きちんと主婦をしている」;家を出ていった歌人・栗木京子;勇気を与えてくれた「お茶の水のお浩」 ほか)
著者等紹介
小倉千加子[オグラチカコ]
1952年、大阪生まれ。早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻博士課程修了。大阪成蹊女子短期大学、愛知淑徳大学文化創造学部教授をへて、執筆・講演活動に入る。本業のジェンダー・セクシュアリティ論からテレビドラマ、日本の晩婚化・少子化現象まで、幅広く分析を続けている。現在は認定こども園を運営し、幼稚園と保育所の連携についても関心を深めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kei
54
昔、NHKで、漱石の虞美人草を読み解く番組があった。並み居る学者、作家を押し退けて、一番読み解いたのが彼女。私自身の解釈とほぼ同様だったので、納得しただけかもしれませんが。そこから、更に色々読むようになりました。高尚な話題から、下世話なTV番組まで、同列に論じる所が好ましいです。ファミリーヒストリーの文枝はよかったよねぇ、とお話ししたいです!現在、こども園を運営?老人関連にシフトしている上野千鶴子さんとは、ここでも対極。お休みせず、文筆も続けてくださいませ。2020/06/21
ゆきらぱ
39
約10年前くらいのコラム。中島梓の母との確執について書かれていると知り読んでみた。冒頭にコラムとしての短文が載っていただけではあるが面白かった。私も中島梓の絶筆を読んだ時に書かれている母親が濃いな、と思ったので。なぜ中島梓が妻子ある編集者と結婚に至ったのか、昔から不思議だった。奥さんから関係を止めてくれと電話で頼まれても結婚し、夫となった編集者は多額の慰謝料を払い、梓の前で置いてきた娘達を思って男泣きに泣いたというエピソードを若い頃に読んだせいか、生々しくて忘れられず、彼女の生い立ちが気になってしまう。2021/03/17
とよぽん
37
学者、作家、政治家、芸術家など多岐にわたる人物について書いている。あとがきの最後の文「人物論を書くとき、私はすべての人物の背後にいるその母親について考える。」に、著者の拠って立つところが見えた。タイトルは栗木京子の短歌「草むらにハイヒール脱ぎ捨てられて雨水(うすい)の碧(あお)き宇宙たまれり」から。育児の社会化は本当に正しいのか、という文を書いているのに、著者自身は認定こども園を運営している? とは如何に。他、田中角栄に関連した文章から意外な面を知った。2020/05/10
くさてる
25
このひとの「女の人生すごろく」を20代で読んだときに感じた新鮮な驚きは忘れられない。他の日本のフェミニストの発言にピンと来ないことが多くとも。これは週刊誌に連載された世評を集めたものなので、食い足りないものも多いけれど(中島梓については一冊書いてほしいくらいです)。はっとするような一言もたくさん見つかる。ちょっといろいろ、読み直そうかな。2022/05/07
marumo
17
週刊誌連載のコラム集。いきなり中島梓の母娘関係について。それから、佐野洋子、鴎外の妻、田中角栄、子育て支援が長時間保育と同義になっていることについて、専業主婦が陥っている環境について…。興味深いテーマばかり。子どもだって家で寛ぎたいとか、女は仕事と家庭の両輪を回していくことに疲れ始めているとか考えさせられる。けれども、一文がやたら長くて文脈が取り難かったり、好悪の感情が排されていたりの「学者っぽい」文体に乗りきれず。なかなか腹を割らない人とお茶してるみたいで欲求不満気味。2020/05/02