内容説明
惚けてしまったおばあちゃんは、まるで「うちゅうじん」のよう。認知症という主題をタブーとせず、発売時、賛否両論を巻きおこした伝説の絵本を復刻!!
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
1931年東京生まれ。52年、第1詩集『二十億光年の孤独』を発表。詩のほかにもスヌーピーの翻訳など幅広い活躍を続けている。さまざまな画家とコンビを組んで絵本も発表している
三輪滋[ミワシゲル]
1941年愛知県生まれ。デザイン制作会社などを経て68年、フリーのイラストレーターとして独立。77年、小説「ステンドグラスの中の風景」で第45回文学界新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
37
寝たきりのおばあちゃんを孫目線で見る詩集。痴呆が入っていて、赤ちゃんのように眠るけど赤ちゃんではない、おばあちゃんは宇宙人であり、自分もいつか宇宙人になる。子供心は純粋なので考えさせられます。2016/05/29
gtn
24
それなりに誠実に生きてきたのに、人生の最終章に後世に死ねばいいと思われる残酷さ。嫁が夫にも苦しみを分かってもらえず、他人の下の世話までしなければならない不条理さ。少なくとも家族が、ましてや嫁が最期まで看取るという時代は終わった。2020/07/04
yumiha
21
物足りなかった。寝たきりのおばあちゃんを取り巻く家族の現実としては、そのまんまなんやろ~けど、谷川俊太郎さん、詩人なら、もっと穿ったり宙返りしたりしてほしかった。2016/06/29
遠い日
16
1982年、ばるん舎発行の復刻版。おばあちゃんの言動を宇宙人と捉えることで乗り越えるのもひとつの方法かもしれないけれど、認知症の老人と始終向き合って介護をするのは、本当にいろいろな意味で辛いこと。きれいごとではすまない時間を、共に歩むのはメンタル面でも疲弊を免れない。義父のその時期を思い返してしまう。2016/10/04
ヒラP@ehon.gohon
15
35年前にこの本が出されていたことを知って、驚きと衝撃を感じました。 痴ほう症になったおばあちゃんのために、家庭が崩壊しようとする危機感。 何よりも乾いた感じで人間関係が描かれていることが不気味です。 おばあちゃんは、赤ちゃんではなく宇宙人になってしまったのですね。 現在にもそのまま当てはまるような気もします。 35年の間に気付かれた高齢者福祉の仕組みは、この物語にどのように歯止めをかけることができているのでしょうか。 谷川俊太郎さんの先見の鋭さに感嘆です。2016/07/22