出版社内容情報
女性史・婦人問題研究家で、平塚らいてう研究家としても知られる著者が、1959年から2000年まで42年間、女性たちを励まし、支え、勇気づけてきた同名の新聞コラム(信濃毎日新聞連載)から、1986年以降の128篇を単行本化。
「戦争体験者がだれ一人居なくなるときがきても、戦争とはなんであったのかということを語り問いただす、反戦・平和の志は、その灯をつたえていかなければならない。そしてそのことは、永遠の命をつなぐ女性が、天から託された役割でもあると思う。(本文より)----「平和」が危ういいまこそ、受け継いでいきたいメッセージ。
序に代えて─45年目の女の机
>>1986年(昭和61年)
女が集まるのに都合よい日は……
オシャレ心の喪失
「主人」から「粗大ゴミ」になる日
わが春怨の嘆き
(身を立て 名をあげ)と歌った卒業式
私利私欲をすてた先人の教え
女と男のパートナーシップとは
ボーボワール女史の思い出
辻潤と宮沢賢治 ── 響き合う魂
現代女子大生気質
農村女性の手が訴えるもの
21世紀を生きる女たちの(らいてう百年歳)
メダカの自立する日は
桐生悠々が唱えた民主主義の正論
教科書にみる日本人の恥ずかしい歴史観
自分をムチ打つ8月15日のスクラップ帳
中曽根総理大臣の女性観
>>1987年(昭和62年)
(女時)は男性優位社会の差別用語
友情こもる見舞いの小箱
非民主的な国家秘密法に反対する
新憲法なくして、今日はなし
男の料理と安全な食卓を考える
戦争の悲惨さをわがものとして受けとめよ!
『サラダ記念日』現象と与謝野晶子
人間無視きわまる医療ミス
「問答無用」のテロは弾圧時代の前ぶれ
まず、稲をして語らしめよ
政権党よ、おごるなかれ
「女の机」って本当はボロのすわり机なの
r>このガキたちの親の顔が見たい!!
冬の旅で聴いたひばりの歌
国家統制下の女子教育の本質を示す一書
青い空にもろ手をさしのべた(8・15)
肌身をよせあい老いを知る
秋扇に過ぎさりし日を思う
流れやまない涙の思い出
もくせいの花の匂う季節に
>>1990年(平成2年)
民主主義に向けられた銃口
料理の品数を誇る飽食日本に異議あり!
いま、なぜ日の丸の押しつけなのか
心の愁い包みこむこぶしの花
生き続けるグレタ・ガルボの神秘
胸が熱くなる二冊の女性史
遊びをせんとや生まれけむ
丸岡秀子先生との夜のホットライン
宣戦布告の権利を母親たちに
虚心にして謙虚にふり返れこの百年
>>1991年(平成3年)
時代をひらく子どもたちの反戦デモ
湾岸戦争と日本の女性たち
春を呼ぶ梅の花にありがとう
(男との別れも愉し)の女心
わが心の原風景にある八月
「嫉妬」という字のおかしさ
一人で思う秋の夜のひととき
>>1992年(平成4年)
発見された従軍慰安対策の公文書
危機感をもって考える憲法の重さ
審議尽くしたか? PKO法案
伸びきれなかった昔の女の脚
何かを秘めたまま
>>1996年(平成8年)
ひとの胸を借りたいこと
女の平和の意志と日本国憲法
「の付きの女」って知ってますか?
心の扉ひらく宮沢賢治のよび声
「憲法公布」五十周年に思う
>>1997年(平成9年)
自己の寿命を生ききること
「紀元ニ六五七年」に歴史の真実を見よ
杉村春子さんとの思い出
最期の輝きのための一書
戦争絶滅こそ真の鎮魂である
>>1998年(平成10年)
運命共同体の地球人たちよ
信州に住み替えたくなった美しい本
「元始、女性は太陽──」の碑建つ
自立する女性の典型だった佐多稲子さん
ウチナンチューの光る一冊『那覇女性史』
>>1999年(平成11年)
現役女性運助家・櫛田ふきさんの百歳を祝う
自他の老いに向き合うとき
消えてゆく花に惜別の思い
トシを重ねながら「うつくしくなる」
消えぬ炎暑の八月の記憶
「いのち」をテーマに行動する宗教家
>>2000年(平成12年)
男性のコピーになるなかれ
愛犬にべったりだった在りし日の父
「親になる」ことが、いつから難しくなったのか
「沖縄の心」たくした展覧会
信濃の友との四十二年の絆
あとがきに
序に代えて
四十五年目の女の机(1959年9月8日付『信濃毎日新聞』より)
空を流れる雲のたたずまいにも灯火したしむべき秋の気配が感じられる。秋の夜ながを過ごす女の姿もさまざまであろう。
日本の住居というのは、フスマや障子一枚のあけ立てで、まことに開放的にできている。カギがなければ暮らせない西洋の住居とちがって、夫婦の寝室すら、通行自在というばあいもおおい。カギはなくとも、家族それぞれに独立した部屋をもつというのは、一部の生活層にかぎられていて、朝から晩まで家族がごったに暮らしている。
住宅事情のせいばかりでなく、広い農家のばあいでも、ひと間に集まって寝るまでの時間を過ごしている。自分ひとりの空間と時間をもつのは、極端にいえば便所の中だけということにもなりかねない。こんな暮らしの中で、物を考える習慣、本を読む興味は薄れて、散漫な落ちつきのない時間を追うことが、主婦の習性となってゆく。
家族のおおい農家の主婦ばかりでなく、勤め人の家庭でも、主婦の時間の過ごし方は、似かよっている。自分の思念に集中できる時間も空間もない。夫は、書斎や机をもっていても、妻の机というものがある家庭はすくないものだ。
きっと気持ちがやさしくなります。きっと背筋がシャンとします。明日を生きる力がわいてきます。
内容説明
「女の机」が始まった一九五九(昭和三四)年一月から今日までの女の歴史は、世界史の流れのなかで確固たる路線の上を進みつづけている。女たちは、机の上で考えたことを行動で実現しはじめたのだ。女の視点で見直せば、なんとまあたくさんのやらねばならないことがあるものよと、世界の女が連帯し、醒めて歌いはじめている。
目次
女が集まるのに都合よい日は…
オシャレ心の喪失
「主人」から「粗大ゴミ」になる日
わが春怨の嘆き
“身を立て名おあげ”と歌った卒業式
私利私欲をすてた先人の教え
女と男のパートナーシップとは
ボーボワール女史の思い出
辻潤と宮沢賢治―響き合う魂
現代女子大生気質〔ほか〕
著者等紹介
小林登美枝[コバヤシトミエ]
1916年、茨城県に生まれる。茨城県立土浦高等女学校卒業。大阪時事新法記者から毎日新聞記者を経て、日本婦人団体連合会の常任理事となり、女性解放運動に関わる。女性解放運動の先駆者平塚らいてうの研究者として自叙伝の編纂、著作に関わる。小県郡真田町に記念館建設を準備しているNPO法人「平塚らいてうの会」会長。1959年から2000年12月まで42年間にわたり信濃毎日新聞のくらし・家庭欄に「女の肌」を連載した。2004年1月11日、リンパ節がんのため東京都内のホスピスにて死去。享年87歳
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