民話の森・童話の王国―信州ゆかりの作家と作品

民話の森・童話の王国―信州ゆかりの作家と作品

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  • サイズ A5判/ページ数 558p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784900918474
  • NDC分類 388.152
  • Cコード C0095

出版社内容情報

夢を忘れた大人たちへ、物語を知らない子どもたちへ……親と子のための民話と童話の読書案内。ふるさとに伝わる昔ばなしと、島崎藤村からC.W.ニコルまで36人の作家を網羅した信州・児童文学への手引き。
附●作品索引・人名索引(本書に扱われる民話・童話・雑誌等800点余。掲載人物300名余)
※本書は『信濃毎日新聞』に、平成2年(1990)415日から平成6年(1994)6月22日まで215回の連載に、加筆、訂正したものです。

第1部[民話編]……伝承・昔話の誕生から現代まで
山と水の伝承[背くらべ/山んば/唐猫/龍]
民話の主人公たち[ものぐさ太郎/甲賀三郎/望月の駒/つつじの乙女]
妖怪伝説[雪女/鬼/天狗/河童]
神の使者としての動物たち[猿/山犬/鳥/狐]
乱世の物語[川中島合戦/落城悲話/武士/加助騒動]
民話のなかの家族[じっさとばっさ/嫁・姑/母/子ども]
笑い・ユーモア[まぬけ聟/ことば/風刺/ほら話]
善光寺をめぐる物語[牛に引かれて/玉鶴姫/ぶらん堂薬師/大地震]
文明開化に生まれた民話[玄蕃之丞狐/チョンまげ/電信/出征]
現代社会と民話[不思議な話/怪談/愉快な話/戦争]
民話編のためのエピローグ

第2部[童話編]……創作童話に関わった36名の人と作品案内
島崎藤村●童話への想い捨てがたく
あくなき童話への想い/「眼鏡」誕生の背景/旅が与えたもの/「幼きものに」にみる童話観/知の財産の伝承として
中 勘助●幼年時代への固執と鋭い文明批評 
野尻で生まれた物語/幼年時代の暗い影/母性への憧れ/鳥に込められた想い
土田耕平●故郷・諏訪への郷愁と童話への執着
「夕焼」への漂泊の旅厳しい現実の描写/疎開生活から生まれた物語/平和への想い
武井武雄●童画に幻想的宇宙を確立した平和主義者
独自の幻想的小宇宙/絵心をはぐくんだ幼年時代/「コドモノクニ」の創刊/平和主義者のモチーフ/超現実的な空想世界
横井弘三●童心が横溢した天衣無縫の画家
超俗的画家との出会い/幼児期に培われた絵心/華々しいデビューから二科会脱会へ/賢治童話との関わり
藤森成吉●権力否定としてのヒューマニズム
児童文学界での位置/弱者への視点/権力への批判/「ピオの話」にみるヒューマニズム
中島孤島●孤高を守り続け世界を見据えた仕事
海外児童文学の紹介/田園生活での絶望/抱月との対立から童話へ/ギリシャ神話への造詣/孤島童話の傾向
小百合葉子●「劇団たんぽぽ」に結実した精神
劇団たんぽぽの誕生/〈たんぽぽ〉の由来/児童演劇への道/受け継がれる精神・281
坪田譲治●野尻湖を愛した夢物語
野尻少女〈おとめ〉/人生と死への煩悶/現実のなかの夢物語/野尻湖との縁/花静かなる田園
佐藤春夫●詩人が創りあげた幻想物語
田舎暮らしと童話の執筆/「田園の憂鬱」/詩人らしい童話/「自然の童話」
平林広人●庶民の心谷元一●独自の絵物語に描いた子どもたちへのメッセージ
田舎生活へのこだわり/童画への目覚め/新しい画調への共感/現代の子どもへのメッセージ
いわさきちひろ●平和への祈りを込めて描いた〈ちひろの世界〉
信州との深い関わり/絵に見入る少女時代/自ら選ぶ人生へ/〈ちひろの世界〉の確立
新田次郎●少年たちへ託した独自の児童文学
〈武士の末裔〉の経歴/優れた少年科学小説/「季節風」/数々の少年小説
宮崎 惇●飛躍した発想から生まれた幻想小説とSF
飛躍した発想の幻想的作品/ロケット研究からSF作家へ/「ミスターサルトビ」/異次元もので発揮された力量
平沢清人●響きあう農民の楽天性とロマンチシズム
文化的に恵まれた少年時代/社会主義思想に基づく姿勢/独自の歴史観/一揆にみた歴史のうねり
松谷みよ子●信州で開花した芸術的感性と庶民性
信州に縁ある作品を/坪田譲治との出会い/民話志向の始まり/難しいテーマでの成功/加害責任を問う物語/〈あの世〉のテーマへの挑戦
庄野英二●キリスト教的精神と信州との絆
信州との絆/戦争体験の影響/「星の牧場」の誕生/自然と人間との関わり
いぬいとみこ●論理的で社会派教師からの影響/根底に流れる詩精神/動物との一定の距離/故郷伊那谷の世界/動物に託した戦争批判/次世代へのメッセージ

■私は信州という限られた土地の、それらの木々の繁る林や森を訪ね歩いた。歩いているうちに、幼い頃に聞いたあの昔話、この伝説というように、日本全体のなかでも非常にポピュラーな物語が多数、このわれらが信州に生まれていることを改めて感じ、目を見張った。”(「民話編のためのエピローグ」より)
■現代は活字文化の曲がり角を大きく曲がってしまった時代である。本書の第二部童話編で取り上げさせていただいた作家や画家36名の仕事の軌跡をたどってきて、改めて思うことは、今とくらべて、先輩たちがどれほど深く活字と活字の森に分け入り、自分の思想や感性を磨いてきたかという点である。”(「本書のためのあとがき」より)

(著者から読者へ)
文化というものは引き継がれてこそ、価値が生じるものであると信じている。まず大人である皆さんに、少なくとも信州ゆかりの民話や作家たちのことぐらいは知っていただきたいし、それを糸口としてそれらの本に感心をもって欲しいと、願わずにはいられない。

内容説明

親と子のための民話と童話の読書案内。扱われる民話・童話・雑誌等、800点余。掲載人物300名余。

目次

第1部 民話編(山と水の伝承;民話の主人公たち;妖怪伝説;神の使者としての動物たち;乱世の物語 ほか)
第2部 童話編(島崎藤村―童話への想い捨てがたく;中勘助―幼年時代への固執と鋭い文明批評;土田耕平―故郷・諏訪への郷愁と童話への執着;吉江喬松―独自の自然観と戦争否定の精神;酒井朝彦―信州への想い入れと文学への心酔 ほか)

著者等紹介

和田登[ワダノボル]
童話作家・日本児童文学者協会会員。1936年、長野県生まれ。信州大学教育学部卒業。『虫』で第1回日本児童文学者協会短編賞、『悲しみの砦』で第1回塚原健二文学賞を受賞。現在、長野市に在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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