内容説明
フィルムが失われ、再び観ることができない日本映画の名作が今ここによみがえる。日本映画の「幻の名作」全51作品の“あらすじ”“解説”“スチル写真”を収録!溝口健二、小津安二郎、山中貞雄…巨匠たちの名作の数々をご堪能ください。
目次
作品紹介(生の輝き;アマチュア倶楽部;京屋襟店;討たるる者;墓石が鼾する頃;異人娘と武士;日輪;紙人形春の囁き;素浪人;転落 ほか)
発見された“幻”の名作(何が彼女をそうさせたか)
巻末資料(キネマ旬報ベスト・テン作品リスト(一九二六~一九三五年))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mayuzumi
5
計五十本の無声映画の梗概が紹介されている。フィルムが失われて二度と観られぬばかりか、脚本をも散逸し、スチールしかないものさえある。しかし筋を頼りに映像を再構成する試みは、ネアンデルタール人の骨から彼らの精神生活を想像するようなもので、ある種の神話の前に佇ち尽くしている恍惚と悦びがある。集中、寿々喜多呂九平と山上伊太郎の「神話」は刺激に充ちている。前者は筆名の妖艶そのままのデモーニッシュな筋運び、後者はアナーキーかつ近代的な群像劇であった。戦後、二人の行方を知る者はいない。2017/01/23