電気化学キャパシタ - 基礎・材料・応用

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電気化学キャパシタ - 基礎・材料・応用

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  • サイズ B5判/ページ数 559p/高さ 27cm
  • 商品コード 9784900830783
  • NDC分類 542.9
  • Cコード C3054

出版社内容情報

訳者

監訳代表

直井 勝彦
東京農工大学工学部応用分子化学科助教授
西野  敦
西野技術士事務所所長
森本  剛
旭硝子株式会社中央研究所特別研究員

監訳者(50音順)

石川 正司
山口大学工学部応用化学工学科助教授
宇恵  誠
三菱化学株式会社筑波研究所副主席研究員
白石 壮志
群馬大学工学部材料工学科助手
杉本  渉
信州大学繊維学部精密素材工学科助手

高須 芳雄
信州大学繊維学部精密素材工学科教授

森田 昌行
山口大学工学部応用化学工学科教授


 

発刊にあたって

 本書は、エネルギー貯蔵デバイスとして電池と並び大きな注目を浴びているス
ーパーキャパシタ(電気化学キャパシタ)に関する集大成“Electrochemical
Supercapatictors”(Brian E.Conway著:1999年出版)の翻訳である。ご存知の
ようにこれからますます増えるエネルギー需要に対して、化石燃料の限界、地球
温暖化、環境破壊など早急に解決しなければならない深刻な問題にわれわれは直
面している。そのような状況の中で、エネルギーシフト問題とどのように向き合
いどういう選択をするにせよ、メンテナンスフリーで環境負荷の小さい電気化学
キャパシタは、欠くことのできない最も重要な鍵となるデバイスである。その応
用は、電子部品や携帯小型機器の電源から電気自動車や燃料電池車へと幅広く、
可能性に満ちている。とくに日本は実用化へむけた研究開発で先進的な役割を果
たしており、世界のリーダーとしてこれからの躍進が大いに期待されている。

 著者のBrian E.Conway教授は、電気化学、物理化学の分野で世界的に著名な研
究者である。現在、カナダのオタワ大学でEmerritus professo(名誉教授)とし
て教鞭をとられ、毎年12月にS.Walsky氏、

 M.Nicola氏らが主催するフロリダキャパシタセミナーの中心的存在である。こ
のフロリダセミナーは、昨年(2000年)で10年目になる。世界から多くの参加者
を集め、年を追うごとに盛況になっている。原著は、そのセミナーの内容をまと
めたものである。そもそも翻訳をはじめる契機となったのは、私たちがフロリダ
セミナーに何度か参加してConway教授と知り合いになり、いろいろと親しく話を
していて原著の出版予定を知ったことによる。日本の研究者に広く紹介して読ん
でもらいたいと思ったことと、私たちにとっても一から勉強し直す良い機会だと
思い、翻訳を願い出たところ大変喜んでいただき快諾してくださった。

 内容は多岐にわたっており、かなり専門的な部分も含んでいる。キャパシタの
みならず、電気化学的なエネルギー貯蔵一般に関する歴史、基礎的(学問的)背
景、先端材料の紹介、デバイスへの応用、さらには特許を取り扱った世界で初め
ての集大成である。この分野の専門家のみならず初心者、大学院レベルの参考
書、導入書として、また21世紀に発展が予想されるソフトエネルギーの解説書と
してお役に立てれば幸いである。


 

内容

第1章 序文と歴史的観点

1.歴史的な概要

2.モノグラフの範囲

第2章 電気エネルギー貯蔵に対する電気化学キャパシタとバッテリーの類似
点と相違点

1.序論
 エネルギー貯蔵系
 キャパシタとバッテリーによる電気エネルギー貯蔵の方法
2.ファラデー過程と非ファラデー過程
 非ファラデー的
 ファラデー的
3.キャパシタとバッテリー
 系の分類
 セル構成と等価回路
4.キャパシタとバッテリーにおける電荷貯蔵の密度の違い
 原子または分子あたりの電子密度
 電気化学キャパシタとバッテリーで得られるエネルギー密度の比較
5.キャパシタと電池の充電曲線の比較
6.サイクリックボルタンメトリーによって評価された電気化学キャパシタと
電池の充放電挙動の比較
7.Li挿入電極──過渡挙動
8.非理想的分極性キャパシタ電極の充電
9.電気化学キャパシタとバッテリーの特性の比較の要約

第3章 電極過程のエネルギー論と速度論

1.序論
2.電極過程のエネルギー論
3.電極電位と関係しているエネルギー因子
4.金属上での電極反応速度論
 電流と速度式
 準平衡な状態においてのバトラー-フォルマー式の線形化
5.交換電流密度i0と平衡近傍での電流密度の挙動
6.電極過程の速度論における拡散支配
7.初期の電子移動に後続する段階が律速であるときの速度論
8. 電極速度論における二重層の効果
9. 電極のキャパシタ的挙動を特徴づける電気応答機能
10.キャパシタ挙動の電気化学的キャラクタリーゼーションのための機器とセ

 セルと参照電極
 測定機器
 2電極デバイス測定

第4章 キャパシタ電極界面における二重層とイオンに関する静電学の基礎

1.序論
2.静電学の原理
 クーロンの法則:電位と電場、ならびに誘電率(単位/誘電率/静電的な電
位、電場、力/イオンにおける電位φと電場E)
3.力線および電場の強度-定理
4.コンデンサもしくはキャパシタの容量
5.電荷表面による電場:ガウスの関係
6.ポアッソンの式:三次元媒体中の電荷
7.電荷のエネルギー
8.電場における誘電体中の電気張力
9.分子レベルでの電気分極応答
 電場における原子および分子:電子分極
 永久双極子と電場の相互作用(均一場/不均一場/電場における四極子への
力)
10.電場における原子と分子:誘電特性と誘電分極
 誘電体
 二重層とイオン場での溶媒分子の分極
 複雑な分子の双極子モーメント
11.誘電体における電気分極
12.キャパシタに貯蔵されるエネルギーとエントロピー

第5章 キャパシタにおける誘電体の挙動と誘電分極理論

1.序論
2.容量の定義と誘電体の誘電率との関係
3.電場中での誘電体の電気分極
4.誘電体の正式な静電理論
5.誘起歪み分極による誘電挙動
6.単純な凝縮相における誘電分極
7.相互作用のない配向可能な双極子系の誘電分極
8.強く相互作用する双極子の誘電分極(高誘電率溶媒)
9.二重層内の溶媒の誘電挙動

第6章 キャパシタ電極界面における電気二重層:その構造と電気容量

1.序論
2.電気二重層のモデルと構造
3.電気二重層における電荷の二次元密度
4.電気二重層の溶液側におけるイオンの電荷密度とイオン間距離
5.電子密度の変化:“ジェリウム”モデル
6.電気二重層にかかる電場
7.電気二重層容量と理想分極性電場
8.電気二重層の電気特性の等価回路表現

第7章 電極界面における二重層の理論的取り扱いとモデル化

1.初期のモデル
2.拡散層の取り扱い
3.二重層の拡散部分の容量
4.イオンの吸着と固定層すなわちヘルムホルツ層の取り扱い
 Sternの取り扱い
 アニオン吸着の準化学的側面
5.二重層キャパシタの誘電体としての溶媒
 総論
 二重層界面を構成する溶媒の種類
 二重層界面領域の誘電率
 溶媒水の二重層における静電分極
 帯電した界面における溶媒双極子配向の分子レベル的な取り扱い(双極子配
向の2状態モデル/水の吸着と配向に対するクラスターモデル)
 水素結合格子モデル
 電極表面での化学吸着に基づく水の自発的配向
 固体金属における溶媒吸着の容量
 最近のモデル計算
6.二重層容量への金属電子の関与
 金属が関与する原因
 電極表面における電子密度のプロファイル
7.拡散層を横切る電位プロファイル
8.多孔性キャパシタ電極の細孔における二重層

第8章 非水電解質と非水電解質キャパシタにおける二重層の挙動

1.序論
2.非水溶媒中の二重層容量挙動の基本的側面
3.非水溶液中での二重層容量挙動の比較
4.展望

第9章 電気二重層と炭素の表面官能基

1.序論
 歴史
 電気化学キャパシタの炭素材料
2.炭素材料の表面特性と官能基
3.炭素材料の電気二重層容量
4.炭素の酸化
5.炭素および金属における二重層容量挙動の表面特異性
6.黒鉛の底面およびエッジ面での二重層容量
7.二重層キャパシタ用に調製された炭素材料の材料科学
 キャパシタ用炭素材料の熱処理と化学処理
 電気化学キャパシタ用炭素材料に対して要求される研究
 炭素表面でのフリーラジカルの電子スピン共鳴
8.炭素表面と酸素の相互作用
9.炭素表面の電子仕事関数と表面電位
10.インターカレーション効果

第10章 擬似容量を利用した電気化学キャパシタ

1.擬似容量の起源
2.擬似容量(Cφ)の理論的な取り扱い
 取り扱いの種類
 擬似容量の電気化学的等温式の取り扱い:熱力学的なアプローチ
3.擬似容量の速度論
 電位が時間に対し比例変化する時の電極速度論
 特性ピーク電流値とピーク電位の評価
 可逆状態と非可逆状態間の変遷
 直流充放電条件下での挙動
4.実効擬似容量の電位範囲
5.酸化還元ならびにインターカレーション擬似容量の起源
6.特異吸着に関連した擬似容量ならびに部分電荷移動現象
7.高比表面積炭素上での擬似容量
8.擬似容量(Cφ)と二重層容量(Cdl)の識別方法

第11章 酸化ルテニウム(RuO2)電気化学キャパシタの電気化学特性

1.歴史的背景
2.序論
3.キャパシタ特性を有するRuO2膜の調製
4.電気化学的手法により調製されるRuO2モノレイヤーからマルチレイヤーへ
の遷移
5.電気化学的および熱分解法で調製されたキャパシタ用RuO2の状態および化
学組成
6.RuO2の充放電メカニズム
7.RuO2およびIrO2電極のボルタンメトリーに関与する酸化状態
 酸化状態と酸化還元メカニズム
 RuO2膜の内部および外部表面領域での電荷蓄積
8.RuO2キャパシタ材料の電荷蓄積メカニズムのまとめ
9.充放電にともなう重量変化
10.RuO2電気化学キャパシタの直流および交流応答特性
11.レドックス擬似容量を示すその他の酸化物皮膜
12.RuO2-TiO2膜の表面分析および構造
13.RuO2-TiO2複合電極のインピーダンス特性
14.IrO2の挙動
15.遷移金属酸化物電極の特性

第12章 導電性、電気化学的に反応する高分子膜の容量挙動

1.序論と一般的な電気化学的挙動
2.重合過程の化学
3.擬似容量に関する一般的挙動
4.導電性高分子のサイクリックボルタモグラムの形状
5.導電性高分子活物質を用いたキャパシタシステムの分類
6.他の手法を用いた補足的研究
7.導電性高分子膜の成長とレドックス擬似容量挙動のエリプソメトリーによ
る研究
8.導電性高分子キャパシタに関するその他の開発状況

第13章 電気化学キャパシタの設計と性能における電解質の因子:伝導率、イ
オン対形成および溶媒和

1.序論
2.電解質溶液の伝導率を決める因子
3.電解質の伝導率と解離
4.自由(解離)イオンの移動度
5.解離とイオン対形成における溶媒の誘電率とドナー性の役割
6.好ましい溶質-溶媒系
 水溶媒
 非水溶媒
 溶融塩電解質
7.非水系電気化学キャパシタ電解質用の溶媒および溶液の性質
8.電気化学的に有効な表面積と多孔性電極電気化学キャパシタの出力性能へ
の電解質伝導率の関係
9.充電時におけるカチオンとアニオンの分離および電解質の局所的伝導率の
効果
10.イオン溶媒和の因子
11.溶液的性質の資料収集
12.付記:非水溶媒とその混合物における電解質溶液の性質に関する実験デー
タの抜粋
 要約表
 文献から抜粋した図式データ
 抜粋した表
 伝導率

第14章 多孔性電極の電気化学挙動、キャパシタへの応用

1.序論
2.RC回路の充電と周波数応答
3.多孔性電極の電気化学挙動の一般理論
 系の必要条件
 de Levieモデルとその取り扱い
 多孔性電極の二重層の形状
4.フラクタル表面としての多孔性電極の界面
5.微粒子の表面およびバルクにおける原子密度
6.細孔径と細孔径分布
7.真の面積と二重層容量
8.多孔性電極における電気浸透効果

第15章 電気エネルギー貯蔵デバイスのエネルギー密度と出力密度

1.出力密度対エネルギー密度のラゴーンプロット
2.エネルギー密度と出力密度ならびにこれらの関係
 一般的考察
 出力密度
 エネルギー密度との関係
 キャパシタの出力密度とエネルギー密度との関係
 キャパシタの出力密度の見積もり
3.濃度分極による出力制限
4.Cレート特性と出力密度との関係
 形式的な定義
 電池とキャパシタの放電におけるCレートの意義
5.エネルギー密度と出力密度の最適化
 キャパシタ-電池ハイブリッドシステム
 最大出力供給の条件
 試験モード
 キャパシタにおける定出力放電方式
 温度の影響
6.充電時のキャパシタが持つエネルギーのエントロピー成分
7.電解コンデンサのエネルギー密度
8.出力密度因子の実用的見地
9.フライホイールシステムによるエネルギー貯蔵

第16章 電気化学キャパシタおよび電気化学系での交流インピーダンス挙動

1.序論
2.インピーダンスに関する基本原理
 交流電流と電圧の関係
 交流電流測定における実効値および平均電流
3.Z″vs. Z′の複素平面プロットにおける半円の発生
 周波数の関数としてのインピーダンス
 時定数と周波数ωr
4.RC時定数
 過渡電流と電圧
 時定数としてのRC
5.測定技術
 acブリッジ
 リサージュ図
 ロック-インアンプを使用した位相検出
 デジタル周波数応答分析(Solartronと他の装置)
6.電気化学系のインピーダンス挙動における速度論
 拡散が支配する系の取り扱い
 速度論的解析法の原理
 H2発生反応の交流についての速度論的解析
 線形掃引(リニアスイープ)とサイクリックボルタンメトリーの関係(方法
論/応答電流/サイクリックボルタンメトリーにおける電流応答と交流電圧変
調)
 擬似容量のインピーダンス

第17章 電気二重層キャパシタの周波数応答──インピーダンス測定における
等価回路とモデルの取り扱い── 

1.序論および等価回路の種類
2.等価直列抵抗(esr)
 esrの重要性
 esrによる市販のキャパシタのインピーダンス限界
3.特定の等価回路モデルのインピーダンス挙動
4.esrをもったキャパシタの負荷抵抗RLへの放電
5.多重RC等価回路を用いた多孔性電極の周波数応答に関するシミュレーショ

6.擬似レドックス容量のインピーダンス挙動
7.多孔性電極における電気化学

第18章 電池と比較した電気化学キャパシタの自己放電

1.序論
2.自己放電現象の実際
3.自己放電の機構
4.自己放電測定の方法論
5.活性化過程が律速となるファラデー反応による自己放電
6.自己放電中の電位低下の勾配を決める要因
7.オーミック抵抗を介して放電する通常のキャパシタとの比較
8.拡散支配の自己放電
9.非理想的な分極性電極の充電
10.電気二重層キャパシタデバイスの自己放電
11.不均一充電された多孔性電極における時間依存性の電荷再分配
12.自己放電に対する温度の影響
13.擬似容量の自己放電
14.炭素材料キャパシタおよび炭素繊維電極の自己放電の測定例
 序論
 ファラデー過程に基づいた電位降下(自己放電)と回復
 商用キャパシタの自己放電挙動
15.RuO2電極における自己放電と電位回復挙動
 背景
 充放電曲線における電位降下(自己放電)と電位回復
 電位回復のモデル
 自己放電後のRuO2における擬似可逆電位
16.積層デバイスにおける自己放電

第19章 電気化学キャパシタの作製および評価法

1.序論
2.材料試験用小型水系炭素キャパシタ電極の作製
3.RuOxキャパシタ電極の作製
4.高分子電解質膜を用いたRuOxキャパシタの作製
5.キャパシタの組立て
6.電気化学キャパシタの評価法
 サイクリックボルタンメトリー
 インピーダンス測定
 定電流充放電
 定電位充放電
 定出力充放電
 リーク電流と自己放電特性
7.その他の評価方法

第20章 技術の進歩

1.序論
2.電気化学キャパシタ技術の進歩
 キャパシタの分類
3.デバイスの発達と技術的進展の総括
4.材料の要求性能
 電極
 炭素電極材料
 炭素粒子および繊維の活性化方法
 酸化物、レドックス擬似容量系
 導電性ポリマー電極
 電解液系
 実用的な設計について
 キャパシタの積層
 バイポーラ電極配列
 キャパシタ素子における電流分布
 スケールアップ因子
5.最新技術
 電極の進歩
 酸化ルテニウム材料
 その他の具体化技術
6.自己放電:現象の実際
7.熱管理
8.キャパシタ特性に影響するその他の因子
 容量とキャパシタ特性の温度依存性
 定電流充電モードと定電位充電モードの比較
 充放電速度の影響
9.電気化学キャパシタ使用における安全性と健康阻害因子
10.材料利用についての最近の進歩
11.使用基準
12.商品の開発と試験
13.電気自動車駆動システムへのキャパシタ-電池ハイブリッド利用
14.市場の状況
 キャパシタ市場における電気化学キャパシタ
 市場の現状と将来性
15.特許文献に見られる技術の総括
16.高電圧静電キャパシタによるエネルギー貯蔵
17.総括と結論
18.情報源についての付記

第21章 特許調査

対語表

換算表

索 引

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