内容説明
その生涯と歌の世界から良寛の心に迫った名著!良寛の本質は「詩人」である。天与の才に恵まれ、生涯に多くの和歌や漢詩を残した。その歌境を解すれば、良寛の清貧の哲学と豊かな心ばえが見えてくる。現代人が見失なってしまったものが見えてくる。―昭和を代表する歌人の一人吉野秀雄が渾身の力を注いで書き上げた良寛の「歌と生涯」。
目次
1 大愚良寛小伝(その少年時代;その出家についての私見 ほか)
2 良寛歌評釈(短歌(諸国行脚時代の歌;越後漂泊時代の歌 ほか)
旋頭歌
長歌(制作年代を追って;年代不詳の長歌))
著者等紹介
吉野秀雄[ヨシノヒデオ]
歌人。明治35年高崎市生まれ。慶応大学を病気のため中退。会津八一に師事し、歌人としての道を歩む。万葉集と良寛には早くから傾倒し、生涯を通じた研究テーマであった。その一生は病いとの闘いの一生だったが、彼の歌を愛する読者は多い。昭和34年読売文学賞。42年第一回迢空賞受賞。同年65歳で鎌倉に病没した
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感想・レビュー
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さっちも
14
「現し身のうつつごころのやまぬかも生れぬ先きに渡しにし身を」訳→この世に生きる人間はどうして眼前の現実にーそれは仮の現象にすぎぬのにーこうまで動かされ、煩わされることか、生まれぬ前から済度されているはずなのになぁの意。五蘊皆空(全ては空であるという諦観)と一切放下(全ての執着を断ち切る悟得)を身に体し、その上に立って見渡せば、もはや美も醜も、善も悪も、真も疑も、たまたま起こったバブルのような物と、明晰な頭脳で捉えていたのだと思う。もともと意味がないところに意味を求めたり答えをだそうとするからしんどくなる2019/01/18