出版社内容情報
生まれつき目が見えない少年と、そのおじいさん。ふたりの語らいで物語が進みます。少年が生まれた日のよろこび、どのように少年がものを見、生きる力と勇気を身につけてきたか。暗闇を恐れず、馬に乗って走れるようになった少年が、やがて一人で生きていく日のことを、おじいさんは静かに語りかけます……。
アメリカ先住民の教えが詩のように美しい、愛と言葉の力を感じさせる感動的な作品。
小学校中学年から大人まで。日本図書館協会選定図書。全国学校図書館協議会選定図書。厚生労働省社会保障審議会推薦。
闇の中から、しだいに明るみへ、影と光を巧みに表現している絵が見事。深いしわが刻まれたおじいさんの顔、目に星のない少年のいくぶん上向きの顔と手の構えなども、ふたりのキャラクターをものがたっています。アメリカ先住の人々の口承文芸の伝統を下敷きに、祖父から孫へ口伝えで語り伝えていくストーリーは、ことばのひとつひとつが研ぎ澄まされて、むだなく、まるで詩のように美しい。この作品は、声にあげて読むと一層味わいが増す作品で、刊行当初からさまざまな方々によって朗読され、朗読劇という形で上演もされています。子どもから大人まで幅広い人々に感動をあたえる作品です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
185
またあの話を聞かせて。おじいちゃんの声で聞きたいから。星ひとつない暗い夜だった…。これが最後になるかもしれんからな。風が呼んでいた。砂を巻き上げて。凄まじい叫びが消え、辺りの静寂に青い馬はやってきた。長い夜がはじまった。神秘。感性。人間の力。心の目。研ぎ澄まされるほどにふと訪れる、怖くてたまらないとき。進むべき道の先が永遠に闇なのかと。風に向かって走り続ける。その先に虹は架かっている。希望。灯火が爆ぜては響く幻想の絵。一本の細紐は幾度も結ぶことで強くなる。少年の小さな自信はその想いとともに太くなっていく。2023/02/09
とよぽん
53
美しく気高い物語だった。祖父と少年のやり取りが、山に囲まれた村の夜の空気にしっくりとなじむ。「目のまえに黒いカーテンを引いたまま生まれてきた」少年に、祖父は「おまえの闇を、信じるんだ」と。邦題は「青い馬の少年」、原題は「KNOTS ON A COUNTING ROPE(ロープの結び目)」。テッド・ランドさんの絵がとても素敵で、光と影、少年と祖父の表情、近景と遠景を巧みに表現している。1995年発行。読友さんのおかげで、この作品に出会うことができてよかった。2024/01/23
モリー
53
おばあちゃんは赤子を抱きかかえて告げた。この子は「美しい世界を歩むだろう」と。「おまえは、目のまえに黒いカーテンを、ひいたまま生まれてきた。」「だけど、ものをみるのは 目だけじゃないよね、おじいちゃん。」おじいちゃんは、名付け親である。そして、この子の名は「青い馬の力をさずかった少年」だ。静かな感動に浸ると同時に、強く反省を促され、胸が締め付けられた。一人のダメな親としてこの作品を受け止めたからだろう。子供に接する全ての方に手にとってほしい絵本だ。美しい世界を歩む強い人に子供を育てるのは大人の責任だから。2024/01/08
ヒラP@ehon.gohon
30
盲目で生まれた男の子が、たくましく成長していく様が骨太の絵で、語られています。生まれたときの話、子馬を自分の眼として育った来たこと、様々なエピソードを、何度でも聞きたい話として、祖父と孫の対話として描いています。インディアンであるという背景も神秘的です。2020/11/15
gtn
27
本来の備えている力を引き出し、自信を植え付けてくれた祖父。未知の世界に踏み出すために背中を押してくれた祖母。でもやがて二人はいなくなる。今度は、自分が教えを実践し、後世に伝える番。人はその繰り返し。2022/12/31
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- 和書
- 鋼構造設計学の基礎