出版社内容情報
《内容》 【咽喉頭疾患を扱う耳鼻咽喉科医ばかりでなく、声のケアに携わるすべての人々へ】
本書は、GERDが嗄声や咽喉頭異常感などの咽喉頭症状や下気道の疾患などにいかに影響し、いかに対処すべきかを包括的に記載した世界で最初のものである。
【訳者序文より】本書は、胃食道逆流症(Gastro-Esophageal Reflux Disease: GERD)が、嗄声や咽喉頭異常感などの咽喉頭症状や下気道の疾患などに如何に影響し、それに対して如何に対処すべきかを包括的に記載した世界で最初のものである。特に、文中に歌手や俳優などの音声を職業的に使用する人々についての記載が多く登場するが、これは著者の一人であるR.T.Sataloff博士自身がプロの歌手であり、臨床の場においても、歌手の声に対するケアを専門としているためでもあろうが、患者と医師の側に立った極めて興味のある内容が展開されている。私達も、試みに日本の歌手達に本書で書かれているようなことについて質問してみたが、彼等がその内容を素直に受け入れたことに驚いた。そう言った意味でも、本書は単に咽喉頭疾患を取り扱う耳鼻咽喉科医のみばかりでなく、消化器科医、呼吸器科医、一般内科医を始めとした医師や医学生から、看護師、言語聴覚士、心理療法士などの医療従事者、更には声楽家、演劇家、音大生をも含んだ幅広い読者を対象に書かれたものと言えよう。しかも、最新の概念も含めて極めて簡潔にまとめられている。
《目次》
【第1章 はじめに】
【第2章 音声生成の機構：解剖と生理】
解剖
発声の生理
【第3章 食道とその括約機構：解剖と生理】
解剖
生理
口腔期
咽頭期
食道期
括約部の重要性
食道上部括約部（UES）
食道下部括約部（LES）
食道蠕動運動の調節
【第4章 胃食道逆流症：その臨床と疫学】
典型的な症状
胃食道逆流症による食道腔外への症状の発現
胃食道逆流症による合併症
胃食道逆流症は慢性の病気である
【第5章 胃食道逆流症による喉頭炎とその周辺：咽喉頭への胃食
道逆流による耳鼻咽喉科領域の諸問題】
症状
身体検査
病態生理学
声門後部炎とその周辺
喉頭肉芽腫
喉頭の創傷治癒の遷延化
乳幼児突然死症候群
結論
【第6章 胃食道逆流症の診断方法】
診断的治療
バリウムによる食道造影
核医学的検査
食道内視鏡
食道粘膜の生検
長時間携帯型pHモニタリング
食道内圧検査
食道裂孔ヘルニアについて
胃食道逆流症に関与する耳鼻咽喉科領域の異常を呈する患者へのアプローチ
【第7章 胃食道逆流症の生活指導と薬物治療】
生活指導と患者教育
市販薬について
H2ブロッカー
消化管運動改善薬
プロトンポンプ阻害剤は手術以外の治療法では最も有用な治療法である
咽喉頭への胃食道逆流症に対する治療についての試案
【第8章 胃食道逆流症に対する手術】
手術的治療の適応
術前評価
胃食道逆流症の病態生理とその手術による矯正
胃食道逆流症に対して現在よく行われている手術法について
代表的な手術法
Nissenの皺壁形成術
腹腔鏡下手術
胸腔経由で行う手術法
部分的皺壁形成術
Collisの胃形成術
皺型形成術以外の手術法（胃固定術）
食道内視鏡による逆流防止手術
術後管理
手術による合併症
術後
まとめ
