内容説明
古生物学者の私は、若くもなく未だ老いてもいない1990年の夏、恐竜ブラキオサウルスの骨格の下で出会った男と恋におちた。第二次世界大戦から帰還した夫と妻、子供との確執、ドイツ統一によって浮きぼりにされた社会的相違や期待と不安、老いることへの不安、そして底流には男と女の愛の確執が生み出した事件の記憶との闘いを描く。
著者等紹介
マローン,モーニカ[マローン,モーニカ][Maron,Monika]
1941~。1980年代の始まりとともに登場した旧東ドイツ・ベルリン出身の作家
梁池孝子[ヤナチタカコ]
1945年東京生まれ。1993年明治大学文学部ドイツ文学専攻卒業。1998年明治大学大学院博士後期課程満期退学。現在明治大学非常勤講師
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感想・レビュー
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やまはるか
4
「あむすく」聞いたことのない出版社だという以外に予備知識を入れずに読んだ。作家の名も性別も知らない。100歳か90歳かの私の50年前か40年前かのフランツとの恋の追憶。「あなたを手に入れるか。さもなくば命を失うか」50歳を超えているであろう私の思いつめた恋、ひたむきな恋。私は一人、フランツには妻がある。「人間の寿命はとても延びた、とフランツが言った。昔人生の末期だったことが、今や人生の半ばだ。現に僕たちは30才そこそこ、せいぜい35才だ。あなたは私の遅ればせの初恋だわ、と私が言った。」2020/02/07