内容説明
天神様として祀られ、学問の神として崇敬されてきた菅原道真。漢詩を通し、その「人となり」を生き生きと浮び上がらせる待望の評伝。
目次
第1章 時代の流れ(平安京前史―桓武天皇と菅原氏;平安新京と嵯峨朝の漢文学 ほか)第2章 文章博士になるまで(詩人の誕生;文章博士への道)
第3章 讃岐守時代(詩人の倫理;阿衡の紛議)
第4章 栄光と没落の軌跡(前奏曲;栄達 ほか)
著者等紹介
藤原克己[フジワラカツミ]
東京大学大学院人文社会系研究科助教授。1976年東京大学文学部国文学専修課程卒業。東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専攻博士課程退学。岡山大学助教授、神戸大学助教授を経て現職。菅原道真、古今和歌集、源氏物語を中心に、平安期の和漢の文学を研究
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感想・レビュー
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mimm
8
詩人として、政治家として、その生涯を漢詩作品を交えて追う一冊。右大臣に任じられ、その上表した辞表は恐れを感じさせる文章であったり、辞職を請いていたのに讒言で左遷…。想像以上にひどい謫居先で詠まれた漢詩は、一部しか掲載されていないけど胸を打ち、この詩を遺すために左遷されたのではないかとも、そんな運命を思ってしまいました。文字の持つ強さを改めて実感。政治家としても興味はあるけれど、漢詩に重点を置いた書籍をより強く読んでみたいと思いました。2012/04/14
あしか
2
道真の一生を時折彼がかいた和歌を交えつつ、説明されている。読みにくいけれど読めなくはない。一度じゃ読み込み足りない。2010/06/27
寿児郎
1
マンガ『応天の門』をきっかけに菅原道真に興味を持ち、古本屋で見かけて購入。 道真の、政治家としての側面、詩人としての側面、激しいところ、優しいところ、判断力に長けている面、人間的な面、白居易との類似点と相違点……。道真の生涯を、彼の詩を通して追っていく。時を超えて道真の人となりに少し触れられたような気がした。 最後、道真がどのように死んでいったのか、もう少し詳しく叙述してほしいと思ったが、白鳥の歌を読めば、その悲哀や無念がひしひしと伝わってきた。 次に京都に行くことがあったら、絶対に菅大臣神社に行く。2019/12/31