内容説明
“A級戦犯”を祖父にもつ女性歌人が、日本国敗戦後の“一つの家族”のうえに流れた時間をいつくしむようにしるしたエッセイに、岡本かの子、与謝野晶子をはじめ、保田与重郎や和泉式部、鏡王女、馬場あき子など、愛惜してやまない文学者・歌人の世界に斬新な視点から光をあてた文学論を収める、やわらかな感性に満ちた初のエッセイ集。
目次
1 “うた”のある記憶(丘の上の家;墓石とワインボトル;青春の「やぽん・まるち」 ほか)
2 心をかきたてる“うた”(保田与重郎の「日本女性語録」;『万葉集』の恋歌―鏡王女の虚ろな恋;和泉式部私考 ほか)
3 “うた”を生きる力(岡本かの子の見た夢;時事詠論争とかの子;恋歌―与謝野晶子の古川大航 ほか)