無名なるイギリス人の日記

無名なるイギリス人の日記

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  • サイズ B6判/ページ数 218p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784900456365
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

平々凡々たる日常の記録。イギリス人のユーモアと愛情。好奇心満々たるまなざし。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

288
本書の出版は1892年なのだが、そのどこにも世紀末文学の陰が見えないのには、むしろ拍子抜けするくらいである(ちなみにワイルドの『サロメ』は1894年刊)。ここに描かれるのは、20年間シティの会社に勤務するアッパー・ミドルの会社員の日常が淡々と綴られた日記である。書き手が語る個々の冗談は、およそ面白くはないが(翻訳者は並々ならぬ苦労をされている)日記の全体からは、イギリス特有のユーモア感覚が伝わってくる。おそらくイギリス人には、もっとそうした感覚は共感できそうだが、彼のささやかな喜びや困惑は時空を超える。2016/12/31

まふ

133
イギリスらしいユーモア小説。ウッドハウスのようなわざとらしさのない「笑い」が好感を抱かせる。実直なサラリーマン人生を20数年続けてきた男が良い妻、友人、雇い主、頼りない独り息子などに囲まれて「オヤジギャグ」を飛ばし合うのが楽しみな平和な毎日を過ごす。我が国の我が日常でも同じような事件を経験してきているような錯覚を持つので、親しみをより一層感じてしまう。19世紀末の時代であることが却ってオドロキの市民小説である。いかに英国が他国に先駆けて市民生活をエンジョイしていたかの証左でもあろう。G532/1000。2024/06/09

ケイ

111
一人の小市民の愛すべき日記。辛うじて使用人をかかえられるが、雇われの身の日記の書き手は、友人の失礼さに憤慨し、騙されて驚き、息子の無道ぶりに右往左往し、つまらないジョークを言っては妻と大笑いし、結婚して20年以上は経つ妻を愛おしく眺める。彼の周りの人も、みんな少しダメで狡くて、少々悪知恵が働いて、でも些細なことに目を丸くし、憎めない人たちだ。さて、この書き手の実直さを一番に評価していたのは、誰か。最後にニンマリとしてしまう。2015/11/26

藤月はな(灯れ松明の火)

95
古き良き時代の名残があるイギリスでの中産階級の大黒柱の何ともユーモラスな日記。書き手のプータ氏はバートラム・ウースター君やエムズワース卿のように大真面目だがどこか抜けている。そしてエナメルのペンキが好きでシャンパンで悪酔いしちゃう、家族思いでお茶目な御仁なのだ。でも決める所は決めるのは格好良いね^^個人的に身分相応な幸福よりも日々のささやかな幸せの方を大切にする姿勢に好感度はアップ。そして社長さんがいい人で本当に良かった。最も息子のルピンの底も浅いし、礼儀知らずなあほんだらぶりにはうんざりするが・・・。2018/07/25

扉のこちら側

85
2016年85冊め。【115/G1000】『ボートの三人男』のひとり版という感じ。妻や友人と日々ああだこうだ言って、突然仕事を辞めて帰ってきた息子に振り回される姿は、英国紳士だけれど現代日本のお父さんにも通じるものがある。これでもかというほと続く不幸な連鎖とお寒いダジャレのセンス、実に「残念な人」だ。兄弟の共作というのもおもしろくて、弟氏による挿絵がまた味があっていい。2016/02/08

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