内容説明
喪失する時の風の中に、鋭い感性が郷土の原像を透視する。最上に育まれた繊細な魂が綴る新たな民衆の情念と生活史。見忘れた郷土の叙景が今枯木野のぬくもりをたたえ鮮かに甦える珠玉の随想・評論22篇。
目次
夏の夜の夢―「面白ろうてやがて寂しき」花火
呪われた美―紙本淡彩「幽霊図」
貴種流離譚―七所明神のこと
『地の中の異国』―永山一郎小論
春への思慕―雪国の春によせて―
村のひとつの過去帳―富山馬頭観世音絵馬
ある戦後の風景―串田孫一・『荒小屋記』『日記』断章
すすき野―白い風花の道
ひとりの“アルチザン”として―版画家・中川木鈴のこと〔ほか〕