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内容説明
フランドルでの苛酷な戦いを終え、スペインへと帰還したアラトリステとイニゴ。カディスの港に上陸した二人にケベードからの伝言が届けられる。「仕事を頼みたい」。セビージャの街でケベードとともに二人を出迎えたのはグアダルメディーナ伯爵であった。伯爵からアラトリステは、帝国の屋台骨を支える新大陸交易に絡んだ巨額の脱税疑惑の存在を知らされる。背後に見え隠れするのはオリバーレス伯公爵と対立を続けるスペイン最大の大貴族、メディナ・シドニア公爵。こうしてアラトリステは、宮廷内の暗闘に再び巻き込まれてゆく。アラトリステに託されたのは、大っぴらに動けない軍や警察の代わりにグアダルキビール川の河口付近で密輸業者のガレオンを襲撃し、密輸品を強奪するという難事である。アラトリステはセビージャの裏社会から名うての悪党どもを掻き集め、夜陰に紛れてサンルーカルへと向かうのだった。
著者等紹介
ペレス・レベルテ,アルトゥーロ[ペレスレベルテ,アルトゥーロ][P´erez‐Reverte,Arturo]
スペイン・カルタヘナ、1951年生まれ。作家、ジャーナリスト。戦争記者として1973年から1994年までの大半の軍事紛争を取材。大成功を収めている作家で、その作品は34言語に翻訳。広範な作品を執筆し、多くの作品が映画化されている。2003年よりスペイン王立アカデミー会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
6
当時のスペインの世情でしょうか。小は「悪党」という言葉が格好良いと思われた時代の描写を、大は大航海時代の栄光の影にあった腐敗と権力闘争を描いています。スペイン人の価値観を、こういう方向から書いた本って、おそらくはじめて読んだのではないかな。本人たち、というより作家は、複雑な思い、ある意味忸怩たる思いを抱きつつ誇りを持って過去を描写しているようなのです。第1~2巻は軽い冒険がメインでしたが、第3巻あたりから冒険は確かにあるものの、この時代のスペインの歴史への複雑な思いの描写が多くなっていますね。2009/11/10
あらたま
1
前巻読んだのいつだったかな…とF&B再読してて思い出し。フェリペ4世の治下、相変わらず泥沼の戦争と社会の腐敗にもがくスペインで、絶望を知りながら剣(トレダーナ)を武器に生きるアラトリステと、彼の旧友の遺児であるイニゴ。メディナ・シドーニア、密輸、新大陸の金、ガレオン船、がキーワード。ミステリとかどんでん返しはなく、ひたすら戦い続けるお話。スペイン男ってのはもおおおお。2013/01/27