内容説明
かつて沖縄のジャーナリズムは「沖縄人の沖縄人による沖縄人のための言論」であった。しかし今日沖縄の新聞社には少数ながら本土出身者が記者として働いている。どういう経緯で沖縄で記者になったのか。「ヤマト」という属性とどう折り合いをつけているのか。記者たちへのインタビューを通して考える沖縄ジャーナリズムの現在。
目次
第1章 どこか違う沖縄の新聞
第2章 本土の若者が沖縄と出会うとき
第3章 沖縄で記者になって分かったこと
第4章 ウチナーンチュとは誰のことか
第5章 アイデンティティの壁
第6章 本土出身者の役割を求めて
終章 アイデンティティを飼い慣らす
著者等紹介
畑仲哲雄[ハタナカテツオ]
龍谷大学社会学部教授。1961年大阪市生まれ。関西大学卒後、毎日新聞社、日経トレンディ編集部、共同通信で記者や編集編集者の実務のかたわら東京大学大学院情報学府に学び、2013年に博士(社会情報学)の学位取得。2015年『地域ジャーナリズム』(勁草書房)で第5回内川芳美記念マス・コミュニケーション学会受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
22
×自分のイデオロギーを重視し、取材対象の声を代弁していると思う居丈高な著者のエピソードを読んで嫌になってしまいました。そのせいかその後の叙情的な話もあまりひびかなかったです。2025/09/10
チェアー
11
沖縄で記者になることはすごく大変なことだ。歴史や現実を背負ったうえ、本土出身者はさらに「ヤマト」を背負うことになる。抑圧と被抑圧の重圧のなかで悩み、何をどのように報道すべきかを悩む。取材相手からも学び、教えられる。本来ジャーナリストは苦悩すべきものだ。その最も先鋭的な例が沖縄の記者だと言える。2020/06/13
Takako
4
ひとりのマージナルマンとして興味深かったし95年は私にとっても転機でその後生まれ育った神奈川を出て琉大に進んでからの感情や出来事をいろいろ思い出しながら読んだ。 本土出身記者を取材して大きな主語で語ってしまうのは勿体ないと感じた。本土出身記者が増えることをうちなーんちゅが危惧していると感じるなら、増えることで何がどう変わることを懸念しているのかを私なら言語化するかな。それによって人を排除しようではなく、例えば大事にしたい視点や思いをどう残すか、ないちゃーもうちなーんちゅも一緒に考えることにつながるから。2020/08/23
satosan
3
本土出身で沖縄で新聞記者をしているというと、基地問題などに高い関心を持って飛び込んだ人というイメージを持っていたが、「元ネット右翼」や「たまたま沖縄大学に入学した」人など幅広い出会いがあるというのが新鮮だった。様々な葛藤や迷いの中で彼らが沖縄で仕事をしていることが沖縄のジャーナリズムの幅を広げているのだろう。日本のメディアでは沖縄の実情が伝わりにくいので、「沖縄のメディア」というと歴史や基地問題を背景に日本政府の政策を糾弾する存在と思われがちだが、決してそんな一面的なものではないことが詳細に描かれている。2020/04/01
akemitsu
1
那覇空港の本屋さんで見つけて購入。沖縄の報道はすごく頑張っていると思うし興味深いテーマだと思った。沖縄の特に新聞メディアで働く記者へのインタビューがもとにはなっていたけど、聞き書きというより、どちらかというと、著者自身の取材生活の中で抱いた意識を紐解く事がメインに読めて、ちょっともの足りなかった。新書なのでボリューム的に仕方ないかな。2024/03/04




