感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gecko
8
1910年前後から2000年代にかけての「沖縄文学」の動向を10年ごとに概観する。沖縄の文学に関して知識不足だったが、作品に描かれた主題と時代背景を重ねて興味深く読むことができた。「沖縄口」と「大和口」の葛藤、日本内地や他府県人との関係、沖縄への眼差し。1950年代には沖縄戦の手記など戦争記録作品が刊行され、70年代にはベトナム戦争なども背景として描かれた。80年代には女性作家が登場し(「大和嫁」、米兵と娼婦)、南米への「移民文学」も見られる。90年代には『沖縄文学全集』など沖縄文学の集成が進んだようだ。2022/09/17
Hiroki Nishizumi
4
やはり本土とは違う歴史。日本語への同化、方言の取り扱いへの葛藤など参考になった。2019/08/23
ysdokusyo
1
この本を読むまで「琉球文学」「沖縄文学」というジャンルを知らなかった。「琉球処分」「沖縄戦」「本土復帰」等、沖縄の置かれた現状と政治的な事が小説の題材になり、そこに、風俗的な神事も織り込んでくる。そこには「本土」の文学にない風景が見えてくる。本書の最後に、最近の小説には、沖縄的な事を書かれていない作品が多いという。初めて芥川賞を受賞した大城立祐はそれを「沖縄文学なのだろうか」と疑問を投げる。2018年現在、新しい沖縄文学作品が出来上がると期待したい。2018/12/06
Witch丁稚
0
正しく「文学の100年」のため前提を知らず読みきれていない情報が膨大な気がする。世の中は知らないことだらけである。沖縄のサッポー恩納なべ聞きたい。琉歌は八八八六の四句三十音。その他にも長歌、仲風、口説、つらねなどがあるというが読んでリズムを体感したかったので漢字にルビを振って欲しい。音源を探して聞くだけだとおそらく漢字を思い浮かべられないし難しいところ。伊波普猷の言葉として紹介されている「小民族のクセに特種の歴史や言語を持っているということは、現代では少なくともその不幸の一つでなければならぬ。」45pは2020/12/21