内容説明
沖縄は、怖い話、妖怪のパラダイスだ!『琉球怪談』シリーズでおなじみの著者が、怪談取材の裏話、書けなかった自らの体験談、マジムン伝承を検証した論考などをまとめた実話怪談風エッセイ。
目次
第1部 “琉球怪談”の裏ばなし(バタフライはフリー;私が録音機材を使わない理由;怪談編集者に、黒魔術の原稿を送ってみた;ハナモーの岬でハナモーと叫ぶ;赤を嫌うギーザ;家に幽霊が出た話;ユタのKさんと一緒に、日本兵の幽霊と対峙する;ゴースト・ソルジャー・イン・ザ・クローゼット;取材して欲しくない;石を持ってきて欲しくない;ユタしく、ユタしく;琉球ユタ免状を授けます;「So It Goes.」と安須森の上で考えてみる)
第2部 マジムン・パラダイス考(マジムン・パラダイスへ繰り出そう 那覇「わかさ妖怪さんぽ」;怪獣「ガーナームイ」と人柱「ナナイロムーティー」漫湖界隈;マジカル「耳グスグス!」ツアー 若狭、奥武山、そして首里へ;ウニ!ウニ!ホーハイ!鬼がいっぱい!首里、大里、八重山)
著者等紹介
小原猛[コハラタケシ]
1968年京都生まれ。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ナディ
27
著者の体験談もあり、面白かった。ヤマトの人間の見方(ウチナーンチュの視点に寄り添う)が良かった。2017/04/01
澤水月
27
戦前からの井戸ウガン(拝所)がそのままマックスバリュ若狭店に! 物凄い彼岸志願の地続き感を感じる。ユタ(トキ、ノロ。拝み祓う人)は島の者がなりたくなくとも「かかって(カンダーリして)」なるものなのに、本土由来のユタ教室免状発行なる怪しげなもの、新たなウガン作る新興宗教はびこり…。七色の髪飾り(元結)は興味深い。魔物に女性が局部晒す話に驚愕、天の岩戸も同じじゃん! 地上戦以前にも豊かに霊?いた地。方言は解説され読みやすく面白く怖い話ばかり。にしても、かつてよく使ったネット古書さりぃの人だったんだよなぁ。多才2016/09/15
澤水月
22
何度読んでも胡散臭い琉球ユタ免状の話は凄い、ブランドだけにカネや功名求める土地外のヤカラ湧く…。ヤンキー凸系とは違う歴史ある地のガイド本にもなっており若狭マックスバリュを訪問地に加えたく。沖縄旅前に再読。2018/09/26
katerinarosa
3
沖縄怪談で有名な著者が怪談集の裏話や役所に勤めていたときの話など、エッセイあり、考察ありの盛り沢山な一冊。怖い話もちゃんと出てくるので、その手のものが好きな人にもオススメな一冊。2017/01/25
Smith, Ordinary. Person.
3
怪談集ではなくエッセイという体裁。前半は怪談集では読めない、実体験に基づく著者のユタや沖縄怪談や沖縄そのものへの付き合い方・考え方が綴られている。後半はマジムン(妖怪の類)を軸に、著者なりの沖縄民俗の考察が綴られている。一部は本土または世界の昔話にも共通するロジック・パーツもあって、齧っている人なら「ん、これは」と思う人もいるかもしれない。きっと沖縄には、埋もれていたり戦争で途絶えてしまったりした話や史実がまだまだあるに違いない。著者には怪談と一緒にこういうものをこれからも採集して考察を進めてほしい。2016/08/08