内容説明
伊福部昭生誕100年記念出版。日本楽壇の巨星・日本映画音楽の開拓者・伊福部昭幻の論文・随筆類をここに集成。
目次
私のなかの歴史―北の譜
日本狂詩曲と其の作家への蛇足
音楽に於ける国民主義
現代音楽のプロパガンダ
流哇碎零
映画音楽の出来るまで
映画音楽六年生
楽譜に書けない音楽―音楽のコラージュ
プロコフィエフ
日常生活の美〔ほか〕
著者等紹介
小林淳[コバヤシアツシ]
映画関連文筆。1958(昭和33)年、東京生まれ。日本映画、外国映画にかかわる文筆活動を行う。映画から流れてくる音楽類の形態と映像・作劇における効用をテーマの一つに据える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たいそ
2
伊福部昭氏の随筆・論文集。年代順に並んでおり、最初のほうは難しい漢字が多く、漢和辞典を傍らに置いて読んだ。音楽について、芸術についていろいろと思いを巡らすことができた。音楽と絵画との対比もおもしろかった。「最後に決定した、すなわち書かれた音と、書かれてはいないけれどもその音楽としての小宇宙を形成するに関与している存在しない音との関連を見極めること、これがもっとも困難だ。」2014/05/05
西神中央林間田園都市
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音楽とは旋律、和声、律動からなるという。伊福部音楽には腹の中に直接響く迫力があるが、この迫力の源はどうやら律動にあるらしい。 音楽を聴くと、我々は自然にリズムをとってしまう。演奏するときも亦た然り。律動は人間の原初的な音楽感性を刺戟するのだ。しかし長年の西洋音楽にあっては、律動よりも旋律や和声に重きが置かれてきた。どうしても、律動を顕にした音楽は原初性、土俗性から野蛮に聞こえるらしい。 私は音楽理論も理解せぬが、音楽は原初的感性に忠実な無作為なものがやはりよい。だからこそ、伊福部音楽はDNAに素早く届く。2020/04/13