内容説明
3年ぶりの小説集。
著者等紹介
いしいしんじ[イシイシンジ]
1966年、大阪生まれ。京都大学文学部卒業。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲治文学賞、12年『ある一日』で織田作之助賞、16年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぜんこう
23
久しぶりに いしいしんじさんの本を読みました。短編、掌編・・・1つ1つは短いけど いしいしんじさんらしい独特な世界のてんこ盛り。電車の中や昼休みにちょこちょこ読むのにちょうどよかった。2022/09/08
re;
23
突然『気づく』瞬間が、たまに訪れる。急に『わかる』瞬間ともいえる。その瞬間に至るまでに確かに続いてきたストーリーがあって、その後に続くストーリーもあるのだが、大事なのはその瞬間で、ほんの短いその煌めきだけが、死の間際まで生き続ける。輝き続ける。その一瞬を切り取れば、きっとこんな作品になるのだろう。短編というよりも詩のような、無駄をそぎおとした文字の連なりの中に全てが在る。瞬間に存在する空気、光、吐息、感情、それら全てを掬い上げた一枚の絵画のようでもある。静かな、それでいて脈動している、そんな一冊でした。2020/11/11
aloha0307
20
起承転結なんてない but生きている時間 そして感覚がたゆたう流れが全編に...ガブッと ものがたりをブン捕って、我ら人間の根源の感覚を激しく揺さぶるものを感じました✿ ”子規と東京ドームに行った話” は諧謔を湛えながら、不思議に澄み渡る柔らかなひかりが...あっち側から届くひかりでしょうか。死というもの を捉える感覚が、いい意味で変わりました(安心感というか...うまく説明できません)✿2020/04/27
Natsuko
19
いしいしんじさん、意外に初読み。 掌編32篇、どれも発想がぶっとんでいて、途中、読了を諦めかけた。今までもそうやって断念してきた作品があったのかもしれないと思いつつ、いしいさんについて検索してみると「いわゆる変人」とあり俄然興味が湧いてきている。「正岡子規と東京ドームに行った話」では、屋根付きの球場、オーロラビジョン、外国人選手、ピッチャーの球の速さ、日ハムのキャラクターなどいちいち驚く正岡さんがじわじわ面白い。「すっぽんレゲエ」では浦島太郎のパロディ、くだらないのに文学的なラストに独特の余韻。2022/09/04
ROOM 237
13
大好きないしいさんの童話SS。ページを捲ればいしいさんが愛してやまない京都や三崎の港町の匂いと音にたちまち包まれ、物語は私を色々な場所に連れ出してくれる。銀座で虎がびゅんびゅん走り回るのを気が済むまで眺めていてもいいし、すっぽんの背中に乗って海に連れて行ってもらうのもいい。夏だから氷山に住んでレゲエやラヴァーズを聴くのも良さそうだし、正岡子規と野球観戦したり三崎の魚屋にマンボウを買いに行くのも面白そう。シーツで折った船に乗って三崎に行けたらいいなぁ。2020/07/13