出版社内容情報
日本語から詩がこぼれてくる。
言葉にひそむ光、声を支える日々の足音、
最果てを抱えこんでいる私たち。--谷川俊太郎(帯コメントより)
第33回現代詩花椿賞受賞作『死んでしまう系のぼくらに』と、
映画化でも話題となった『夜空はいつでも最高密度の青色だ』に連なる
詩集三部作、完結!
最果タヒ自身が拓いた、詩の新時代を決定づける傑作。
「グッドモーニング」「ふれた永遠」「糸」
「光の匂い」「5年後、太陽系、みずいろ」
…ほか、書き下ろし含む全43篇収録。
この本から、また始まる。
内容説明
詩集三部作、完結。『死んでしまう系のぼくらに』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』が拓いた、詩の新時代を決定づける傑作。書き下ろし含む43篇。
目次
スクールゾーン
ピンホールカメラの詩
ビニール傘の詩
冬は日が落ちるのが早い
海
真珠の詩
プリズム
ワンシーン
ハイスピード
スターバックスの詩〔ほか〕
著者等紹介
最果タヒ[サイハテタヒ]
詩人・小説家。1986年、神戸市生まれ。2006年現代詩手帖賞を受賞。2007年詩集『グッドモーニング』刊行、同作で中原中也賞受賞。2014年詩集『死んでしまう系のぼくらに』刊行、現代詩花椿賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
124
わかるよと、あなたに言うことはできない。死、光、生、孤独....感受性豊かですね。独特の言葉選び、リズム、切返し....それでも±詩なんだな。じっくり読んでいるのに放出される感覚。映画好きの心には次の一節が突き刺さる「光の束をかきあつめるようにして映画を観る人。きみの瞳から光が映写されて、だれかを照らしているとき、それこそがきみの映画なのだと、気づくまで、生きて」。この詩集に、出会わせてくれて、本当にありがとう。2019/08/23
☆よいこ
75
詩集。縦書きだったり横書きだったり、形式は無しで韻を踏んだり踏まなかったり。宇宙を見上げるようにして詠まれた詩は言葉の繋がりとして私の中に浸みてくる。そうそう私も昔こんなことを感じたことがあるかもしれない、見たことのある風景かもしれないと瞳を伏せつつゆっくりと詩を読んでいく。絡み合う言葉とリリックの、縫い目を辿るような読書体験。▽好きです。2019/11/20
真鍋
30
再々読。定期的にタヒさんの文章を読みたくてしょうがなくなる病を発症したようです。タヒさんの詩が本当に好き。特に「坂道の詩」が好きです。2019/08/09
tenori
29
「私は私のことも言葉のこともよく知らないのですよ」「伝わるか伝わらないかも個性なんだぜ」と自ら話す最果タヒの詩は、やはり難解なのだけれど、それは受け手が無理やりに意味を持たそうと考えこんでしまっているだけなのかもな…と、いくつかの作品集を読んでみて気がついた。矢のごとく放たれた言葉に射られて身動きとれなくなるのではなく、言葉の渦に身を委ねてしまうと楽になってくる。そこに、いくつかの好きな言葉や表現を見つけることの快感。『生きているつもりで、死が一時停止の点滅をしている』なんて感性、なかなか触れられない。2020/07/21
きき
28
初めて読む最果タヒさんの作品。水のように、光のように、空気のように、身体を通過していく。通過するけど留まらない。そんな印象の言葉の羅列だった。それはきっと、私たちの曖昧な気持ちを抱きしめて、詩にしてくれたからだろう。この詩たちの本質を理解することは私には難しかったけれど、何だかそれで良い気がした。寄り添っていてくれるような温もりを感じた一冊。本当に上手く言えない、初めて体験する感覚だった。「糸」「無限の魂」が特に良かった。2020/02/22