内容説明
きわめて真剣、かつ軽やかで愉快な言葉のかたわらに、映画の現在に迫る根源的な問いが投げかけられる。「武装解除」の歓び。
目次
1 悩み聞いて貰います。
2 フィルムかビデオか、それが問題だ。
3 どこでもかまわない。
4 恐いこと、怖いひと。
5 衣裳についてのあれこれ。
6 でたらめ万歳。
7 三冊の赤い本。
8 『アバター』から“正義感”を取ったら何が残るか。
9 法律より正しいこと。
10 映画の未来。―ゲスト・万田邦敏
著者等紹介
蓮實重彦[ハスミシゲヒコ]
1936年東京生まれ。60年東京大学仏文科卒業。65年パリ大学大学院より博士号取得。70年より立教大学にて「映画表現論」開講。93年から95年まで東京大学教養学部学部長。97年より01年まで東京大学総長
黒沢清[クロサワキヨシ]
1955年兵庫県神戸市生まれ。75年立教大学入学。長谷川和彦、相米慎二らの助監督を経てディレクターズ・カンパニーに参加し、83年『神田川淫乱戦争』で商業映画デビュー
青山真治[アオヤマシンジ]
1964年福岡県北九州市生まれ。84年立教大学入学。ダニエル・シュミット、黒沢清らの助監督を経て、96年『Helpless』で商業映画デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sawa
3
これほどハイレベルな映画人の会話なのに、置いてけぼり感を食らうどころか、これ見てみたい/もう一度ちゃんと見たいと思わせる面白さ。「わかる人にはわかる」なんて言葉さえ、こんなふうにカッコイイ文脈のうちに語られてしまっては、わからない側の自分も拗ねられやしません。2011/08/17
かいこ
2
「映画はものを考えさせるためにあるのではなく、考えていたことがぐらぐらと崩れるようなものこそが映画だということを言ってくださらないと、今後活劇は撮れなくなりますよ」2020/06/25
王天上
2
なるほどな意見多数。といいつつ、また今夜もB級ホラーばかり観ている……2013/05/24
pudonsha
2
「安心して見られて作者の意図も、人物が何をやっているのかもわかり、ほどよく社会に言及している(中略)それは映画作家が映画という制度にすっかり自足していることにほかならず、社会性は見せかけにすぎません。そうした作品を自分に対する願ってもないサービスだと思って消費している連中が多すぎる」(蓮實)2012/12/17
梟をめぐる読書
2
「フライシャーは遅まきながら再評価されはじめていますから、世界はようやく七〇年代の立教に追いついたのです(笑)」「タランティーノは、それこそわれわれに教えを請いにくるべきなのです」。蓮實氏のこんな思い上がりを笑って看過できるなら、間違いなく読んで損はない一冊。思いのほか最新の話題作への目配せも行き届いており、とりわけ『アバター』から古典的なインディアン物語の構造を取り出したり、『アウトレイジ』をして「誰もそれを望んでいないのに暴力のみが空転しつづける権力ゲーム」と指摘してしまえるあたりの鋭さは流石。2012/02/04