内容説明
102歳で吉川英治文化賞を受賞した瞽女(ごぜ)小林ハルさん、谷崎潤一郎の『痴人の愛』のモデル、放浪をつづけた母親など、人間の心の闇の部分、生きざまを見すえた「生の深い淵から漂うもの」を描き、エッセイにまとめる。
目次
1 最後の瞽女小林ハルさんの顔(心の原風景;現代文明社会への警鐘 ほか)
2 母と娘と自画像と天井画(母に捧げる鎮魂歌;感性磨かれた幼児期の体験 ほか)
3 モデルとの出会い(偶然の選択と誤解の出会い;モデルの死 ほか)
4 ニューヨークとインドの旅ほか(ニューヨークで;アメリカンドリーム ほか)
5 追悼と評論(詩人の魂で彩られた作品;さりながら死ぬのはいつも他人なり ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
井戸端アンジェリか
11
オサム兄ぃ様のレビューで「痴人の愛」ナオミのモデルも登場すると知り興味津々でした。残念ながら、まだ顔に刻まれたシワに美を見出せない若輩者なので感動よりも驚愕が勝ってしまいました。瞽女については興味を持った事があるので、モデルのハルさんもエピソードも作品もビシビシ響きます。 ちょっと本を置いといたら父が先にパラパラ見ていて、凄いの読んでるなぁと言うので説明してあげたところ『写真じゃないのか?』と。その後一緒に作者のお母様の半裸作品を見ながら暫し無言。2015/05/09
オサム兄ぃ
8
絵本「はじめての旅」で見た10B~10Hの鉛筆22諧調で描くモノトーンの絵と、実体験に基づくストーリーに心をつかまれ、作者をより知りたくて手にした本。衝撃的な人生が幼少期から詳しく書かれている上に、老いた母の肖像が載っており感慨深い。他、村山槐多「バラと少女」のモデル 相原ミキさんや、谷崎潤一郎「痴人の愛」のナオミのモデル 和嶋せいさんなど、美術・文学史を彩る人物の最晩年の肖像画が出会ったエピードとともに収められ印象的である。幾多の辛苦を乗り越えた作者の目と手は、人生の深淵を見つめ描き出す。2014/02/09
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