内容説明
「プノンペン解放」は、一層すさまじい悲劇の始まりだった。その日、首都プノンペンのフランス大使館に避難した著者は、不気味なクメール・ルージュによる首都征圧、住民の強制退去の模様を克明に描く。さらにカンボジア難民の話とポル・ポト政権の放送から、カンボジアで起きた事実に迫る。本書は死を強いられた数百万カンボジア民衆への鎮魂歌であると同時に、政治の美辞麗句の虚偽をついた貴重な現代史資料である。
目次
第1章 栄光の4月17日―プノンペン陥落
第2章 「敗北者には禍あれ」―死の行進
第3章 くつがえされた果物籠―地方都市でも
第4章 十字架を負う人びと―強制退去後の運命
第5章 独立・主権―カンプチア革命のイデオロギー
第6章 はたらく集団―カンプチアの社会組織
第7章 「オンカーの恵み」―新しい価値観
第8章 カンプチアの文化革命―創造と破壊と
第9章 急進的な革命―あまりにも過激な
第10章 革命までの30年―新指導の横顔
第11章 すべての人民に幸福を?―人はなぜ逃げる
第12章 カンボジア・ゼロ年
第13章 どこへ行くカンプチア―1978年の情勢