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内容説明
「レトロでかわいい」と人気のチェコとスロヴァキアで生まれたデザイン。でも、そのつくり手たちはどんな思いを形や色に込めたのだろう。
目次
歴史のなかのデザイン―最初に知っておきたいこと
1 社会主義時代のデザイン
2 表現するということ
3 先駆者としてのアヴァンギャルド
4 表現の余白
5 デザインの未来
現在のチェコとスロヴァキアでデザインを学ぶために
著者等紹介
増田幸弘[マスダユキヒロ]
1963年東京生まれ。フリー編集者・記者。早稲田大学第一文学部卒業。スロヴァキアを拠点に、日本とヨーロッパを行き来して取材をおこなう
集[ツドイ]
1995年生まれ。ブラチスラヴァ美術デザイン・アカデミー在学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobuko Hashimoto
21
20世紀初頭~現在のチェコとスロヴァキアのグラフィックデザインを紹介。デザイナーのインタビューもたくさん掲載。カラー図版も豊富。プラハの地下鉄サインのデザイナーも登場していて、私たちの生活は誰かのデザインによって支えられているのだということをあらためて意識した。1989年の民主化後、数年は自由な表現活動が花咲いたが、その後商業主義に傾いていき、コンピュータの普及も相まって世界中で同じようなものしか生まれなくなったとデザイナーたちは指摘する。たしかに60年代のチェコの映画ポスターの水準の高さに比べると…2020/03/28
CCC
11
デザイナーへのインタビューが中心。マッチ箱やポスターなどのデザインの事情を、社会主義時代と自由化後を対比させながら語っている。門外漢の世界だったが図も多くてイメージがしやすかった。社会主義時代には不自由の間隙を縫って工夫を凝らしたデザインを作っていたが、資本主義体制になってからは商業主義一辺倒の画一的デザインに飲み込まれてしまった、といったある種のノスタルジーも感じる話や、社会主義体制は強力な抑圧体制で相互監視や国の妨害が身近にあった、といった過酷な体験の話などがあり、両義性が感じられた。2024/03/07
kuukazoo
6
わたしにとってチェコといえばやはりかわいい紙ものとかフィギュアスケーターのミハル・ブレジナなので、暗い歴史を負ってきた国であることをこの本で突きつけられた。現在かわいいとかレトロとかもてはやされているものが社会主義時代のアノニムなもので、その時代に迎合せず自分の表現を貫こうとした画家やデザイナー達にとっては、そんなある意味忌まわしい時代の産物が商業主義によって価値を得ていることが理解できなかったりもするんだろう。儲からなくて大変でも、やりたいことを貫くデザイナーたちの姿勢に勇気をもらった。2018/06/09
relaxopenenjoy
5
副題の通り、チェコとスロヴァキアのグラフィック・デザインの本。デザイナーやクリエイターのインタビューが多く、なかなか面白かった。著者は何者かと思ったが、父娘で、プラハ、のちブラチスラヴァに住んでおり、娘さんはブラチスラヴァ美術デザイン・アカデミー在学(2017発行当時)とのこと。メモ アノニム(匿名)、ヤン・ライヒ(写真家)、ヨゼフ・チャペック(装幀)、カレル・タイゲ(デザイナー)、ズデネク・セイドル(デザイナー、装幀)、クヴィエタ・パツォフスカー(絵本)、降矢なな、出久根育。2022/09/09
ganesha
5
チェコとスロヴァキアに10年以上住んでいるという親子による、両国のデザインについての一冊。デザイナーの紹介やインタビューを中心に、社会主義時代と現在の違いやブルノ・ビエンナーレについて多く触れられている。「自由というものに慣れてしまい、商業的に走り出し…表現の自由がなかった社会主義のときのほうが、文化が豊かに思える」という画廊経営の女性の言葉と、日本人絵本作家のインタビューが印象的だった。2018/02/16