内容説明
戦争、いじめ、自然破壊に連なる人間性の荒廃。幾多の苦難にさらされる子どもらに思いを馳せ、児童文学者と国語教育研究者が交わした魂の対話。
目次
誰が関わっているかによって伝承の質が異なっていく
わたしの作家的営みは、「教育的配慮」とのあくなき戦いだった
批評行為が軽んじられてきたことは大人の文学受容の貧しさを端的にあらわしている
岩手県の遠野の里で、「生産地」の民話にめぐりあった
輪廻転生のふしぎ(あるいは謎)は、「メビウスの輪」にも似て
教壇から一方的に押しつける教材でなく、子どもの参加をうながす民主的教材を
作品「バレンタインデー」はいじめの課題を解く一つの道筋を提示している
本来、児童文学批評は、“子ども寄り”の視点で論じられるべきである
地球的規模の問題は、人間の側からは照射されず、野生の立場を共有しない限り、見えてこない
からだとの出会いをこどもたちに保証することが人間形成につながる
戦後30年を経て、戦争は「民話」になった
バーチャルな映像こそ「真」で手応えのある実像の方を「虚」とする錯覚
疎開した少年少女に降り注ぐ、「ヨブ記」さながらの試練
「戦争」と「マス・メディア」の関連を探る
「ワレラ少国民」は、愚直にアノ戦争を戦い抜き、ついに「民主主義」にたどりついた
著者等紹介
さねとうあきら[サネトウアキラ]
実藤述。児童文学者・劇作家。1935年、東京に生まれ、早大文学部演劇科を経て、58年、劇団「仲間」に参加。61年には児童劇戯曲『ふりむくなペドロ』を書いて、劇作家デビュー、72年には創作民話集『地べたっこさま』を上梓して、児童文学にも筆を染める。この作品は日本児童文学者協会新人賞、野間児童文芸推奨作品賞などを受賞。以来、児童劇と児童文学の両分野で執筆活動を展開してきた。日本児童文学者協会評議員、日本劇作家協会会員
鈴木清隆[スズキキヨタカ]
1947年生れ。東京学芸大学卒。都公立小学校の教員、副校長、校長を経て、学校法人聖心学園事務長。教科書編修委員、『ひと』編集委員、NHK学校教育番組「あいうえお」企画委員等を歴任。短編小説「ごぜ奇譚」で長塚節文学賞(優秀賞)。個人誌『模索』主宰。文芸総合誌『伽羅』同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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