内容説明
宮本常一のもと、「旅して学ぶ」という社会実験が「日本観光文化研究所(観文研)」でおこなわれた。観文研には社会からはみ出して貧乏旅行をくり返す若い人々が、類は友を呼ぶように、水が流れ込むようにして集まってきた。宮本は、その若者たちに幾らかの金と居場所を与え、そして「さあ存分に歩け」と野に放ったのである。昭和当時の日本や海外の暮らしを調べ・体験した旅人たちの貴重な「旅のインタビュー」満載。
目次
第1章 宮本常一の旅学
第2章 旅人の肖像
第3章 旅学の技術
第4章 旅学の結晶
第5章 旅の影
第6章 いま旅学を問う
著者等紹介
福田晴子[フクダハルコ]
2002年、法政大学法学部政治学科卒業。在学中から南北格差と持続可能な豊かさをテーマに海外を歩く。旅行業界誌の記者などを経て、2015年、早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。文化人類学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
103
先日亡くなった佐野眞一氏による伝記でも晩年の宮本常一が仕事の拠点とした日本観光文化研究所について書かれていたが、その詳細を1冊費やして描き出す。旅に情熱を傾ける多くの若者を内外の未知の土地へと送り出し、宮本がアチックミューゼアム時代に経験した「旅学」を次世代に継承させようとする姿は理想的な師弟関係そのものだ。宮本は前半生で渋沢敬三、後半生で馬場昇とパトロンに恵まれて、お偉い学者には不可能なほどの研究を成し遂げた。学歴もない独学で民俗学を学んだ男を支援したいと思わせる、人間的魅力があればこそだったのだろう。2022/10/02
Hiroki Nishizumi
6
考えさせられる。これからさきは親が子に孝行する時代。舞台で主役をつとめていると、多くのものを見落としてしまう。人をもてなすのは食事が一番。合掌低頭。偶然にまかせる。量は質を凌駕する。等々「あるくみるきく」は昔少し読んだけど面白かった記憶がある。 2023/06/21
tkm66
2
直接お会いしている先生方の複数証言が懐かしい。ま、既に柳田・渋沢・宮本の後・<第二期民俗学者>自体そのものが<オーラルヒストリーの取材対象者>になった2022年秋の現在・・・。2022/11/06
Go Extreme
2
宮本常一の旅学: あるく旅 故郷の島 世間師の知 「旅の大学院」誕生 人と地域を育てる 旅人の肖像: 有象無象の研究所 「旅」 という価値観 愛すべき変わり者たち 旅学の技術: あるく みる きく 読む 記録する 発表する 旅学の結晶: ユニークな方針 読者との共鳴 編集長・宮本千晴 遊びと学び 地球歩きの「赤本」 旅の影: 旅をしながら食べていけるのか そのとき家族は 旅をされる迷惑 旅は危険か 旅は逃避か 旅中毒 いま旅学を問う: 時代の流れ 歩く旅の効果 旅ができる社会へ 私たちの旅学2022/11/12
takao
1
ふむ2024/09/18
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- 和書
- 星に仄めかされて